競争優位の終焉: 市場の変化に合わせて、戦略を動かし続ける

  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版 (2014年6月1日発売)
3.33
  • (7)
  • (27)
  • (33)
  • (9)
  • (3)
本棚登録 : 368
感想 : 24
2

1985年マイケル・ポーターの「競争優位の戦略」に対し、2000年クレイトン・クリステンセン「イノベーションのジレンマ」によるアプローチで、顧客志向の競争優位がイノベーションを産めないために、競争優位が持続できない論理が展開されている。後者のソリューションは、競争優位の組織・カルチャーと切り離してイノベーションを起こせ、だった。
 2013年にコロンビア大学ビジネススクール教授の著者から出版された本書は、競争優位の組織の中で、市場や製品ターゲットをずらして、継続的な市場開拓を勧める戦略・組織を解く。2000~2009年の10年間純利益を5%以上成長させ続けた企業がその証左となる企業としている。当該10社に加え、成長を停めてしまった企業、部分的な特徴の企業等、豊富な具体例が説明される。
 読後感として、証左が10億ドル以上の全世界の上場企業の中に10社しか存在しなかったという発見が、この戦略を講じることの難しさを証明していると感じる。したがって、ターゲット領域をずらしていく継続的な変革戦略は「言うは易し...」という印象であるが、変革を意識し、PDCAを高速回転させる手法を支持する声が強い現代において、社内で変革をリードする人の事例集として一定の価値があると言える。
 なお、最終章の個人へのアドバイスにて、今日流行の複線的キャリアを出版時点で提唱しているところに先見性がある。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: Strategy
感想投稿日 : 2021年7月31日
読了日 : 2021年7月31日
本棚登録日 : 2021年7月31日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする