父と娘の往復書簡

  • 文藝春秋 (2008年10月6日発売)
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本棚登録 : 65
感想 : 10
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幸四郎さんは「きみ」と、松さんは「あなた」と呼びかける微妙な距離感を保ちながら、父娘として、同業者として、ライバルとして、綴られる24通の手紙。
語られる内容は、やはり芝居のことが多いけれど、普段は知ることが出来ない陰での努力や苦労話も書かれていて、華やかなばかりではない厳しい世界を垣間見ることができます。

雑誌の連載で、2年間に亘って続いた往復書簡だけに、その時々の手紙の中で書かれてい舞台の話などは、読者としても思い出深いものとなっています。
特に、ファンの人たちには・・・。

幸四郎さんの舞台にかける情熱や、「ほんとの気持ち」のレコーディングの裏話も興味深いのですが、やはり松さんの結婚秘話に「父娘の心情」が満ち溢れていると思います。
松さんからの最後の手紙で、何カ所か「お父さん」と書かれている部分があります。
最後の最後で、「父と娘」の距離で語りかけることが出来たのかもしれません。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2008年12月2日
読了日 : 2008年12月2日
本棚登録日 : 2008年12月2日

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