原田泰治が3月2日に亡くなったので、追悼の思いを込めて画集を開いた。36.4 x 6.1 x 48.2センチの大判の本に、自選した代表作百七十余点が収められている。どの絵にもなつかしいふるさとの風景が素朴に描かれ、郷愁を誘う。もちろんそんな風景は今はないし、もしかしたら過去もなかった。原田泰治は、実際の景色に触発されて自分の思い出の中にある風景を描いたのだろう。それは、私たちの心の中にある、あってほしいと願っている風景と重なっていた。だからこそ多くの人が彼の絵を愛した。原田泰治の風景画の登場人物には顔が描かれていない。見る人は、そこに自分の父母や祖父母、友人たちの姿を見出すに違いない。
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- 感想投稿日 : 2022年3月15日
- 読了日 : 2022年3月15日
- 本棚登録日 : 2022年3月15日
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