いつもふたりきりで (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)

  • 二見書房 (2009年1月20日発売)
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本棚登録 : 102
感想 : 22
5

極度の近視なのに『眼鏡をかけたら不細工だから。』という理不尽な理由で、継母から眼鏡を禁じられているヒロイン、クラリッサと、美しかった顔に戦争で醜い傷を残してしまったヒーロー、エイドリアンの恋の物語です。

最初は、「自分の醜い傷は彼女には見えないだろう。」というちょっとした興味で、彼女に近づいたエイドリアンですが、彼女のユーモアのセンスや、天性の明るさと優しさに、あっという間に心惹かれます。
一方、クラリッサは誰とダンスを踊っても、足を踏んでしまったりと失敗続きだったのに、エイドリアンの優しいリードで、ダンスを楽しめたことに感激し、彼に好意を抱きます。

醜い傷跡のせいで女性には愛されないと思い込み、心にも深い傷跡を抱えていたエイドリアンですが、クラリッサと過ごす楽しい時間の中で、しばらく忘れていた本物の笑顔を取り戻し、親しい人達から見たら、バレバレなくらい彼女を愛しく思うようになっていきます。
継母がエイドリアンを良く思っていなかった為、二人はこっそりと会うようになりますが、お互いにどんどん惹かれあっていき、ベタ甘カップルなところに、ときめきました。

物語の後半部分では、ヒロインの命を狙う何者かが存在するのでは?という疑惑が浮上します。
ヒロインが、闇雲に怯えることなく、誰に狙われているのかを冷静に考えようとする姿に、凛々しさを感じました。
純粋で無垢なヒロインを、愛し守ろうとするヒーローも、かっこよかったです。

そして、ヒロインに心の傷を癒されるのはヒーローだけでは無いところも、この物語の魅力の一つだったように思います。
ヒロインが語った実のお母様の言葉は重みがあり、そんなお母様に育てられたからこそ、ヒロインは優しく聡明な女性に育ったのだな…と、思わず納得です。

ユーモアあり、ラブあり、サスペンスありで、なかなか内容の濃い一冊でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ロマンス小説
感想投稿日 : 2013年2月2日
読了日 : 2013年1月30日
本棚登録日 : 2013年1月29日

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