ワークショップデザイン論 第2版

  • 慶應義塾大学出版会 (2021年1月9日発売)
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ワークショップ指南書です。
ワークショップの企画、運営、評価までを解説してあります。
単なるノウハウ書ではなく、学術的な裏付けに基づかれた書かれています。
いろいろと示唆に富みます。

近年、企業研修や学校教育などでますます需要が高まるワークショップの好評指南書を7年ぶりに改訂。
ワークショップの「企画―運営―評価」のサイクルを、理論をもとにわかりやすく解説する構成はそのままに、第2版では、適切な課題設定の仕方や、ファシリテーションについての最新の知見も盛り込み、さらに利便性を向上した。


本章の冒頭で紹介した森(2008)の実験においても、ベテラン実践者は初心者に比べて、企画を設計する際により多くの「保留」を行っていることが明らかになっている。つまり、活動の構成や進行の仕方を事前に全て決定しておくのではなく、当日の参加者の様子を見て適切な対応をすべきところは積極的に保留としておき、また決定ができる部分もあくまで「仮の決定」とし、当日の状況によっては柔軟に変更する姿勢を持っていることがわかっている。
ただし、注意すべき点は、ベテラン実践者は入念なシミュレーションを行った上で決定を保留している点である。シミュレーションが不足したまま決定を当日に先延ばしにしても、運営の際に対応できずに実践が失敗することは目に見えている。ベテラン実践者は、想像によるシミュレーションを繰り返し、どの時点でどのようなことが起きるか、もしくは起き得るかに関して事前の予測を立てており、それら予測に対してしかるべき企画の修正案や活動案を用意している。このように設計に余白を残しながら、段階を追って企画を決定していく「柔らかな決定」が、ベテランの実践を支えているのである。 ー 93~94ページ

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ファシリテーション
感想投稿日 : 2021年3月12日
読了日 : 2021年3月12日
本棚登録日 : 2021年3月11日

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