NHK出版 学びのきほん 落語はこころの処方箋 (教養・文化シリーズ NHK出版学びのきほん)
- NHK出版 (2020年9月25日発売)
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感想 : 13件
落語の世界=江戸時代の町人の暮らしと現代の生活を対比させながら、現代で失われてしまった大切なものは、落語の世界に見つけることができるのではないかと、筆者は主張する。
だから、落語を聞いて価値観をシフトチェンジさせることで、息が詰まる現代も、より楽に生きていくことができる、つまり、落語は「こころの処方箋」になると提言している。
筆者の視点は鋭く、それでいて全体を通して噺家特有の柔らかい口調で語られているので、読みやすく、かつ気付きがたくさんあった。
特に、落語は「人間の業の肯定」であるという定義がとても印象的だった。(噛み砕くと"ダメなやつでも、しょうがねえなあと許容する世界"だろうか)
現代の"コスパ至上主義"や、「成功/失敗」の二元論で片付けがちな価値観によって失われたおおらかさのようなものは、落語の世界を知ることで回復させることができる、という筆者の考えはとても新鮮で、そういう視点を持って落語を聞いてみたいと思った。
これまで僕にとって落語は、「興味はあるけれどどこか高尚な気がして、どこから入ればわからない」ものだったが、この本を読むことで、落語の世界に一歩踏み込んでいけそうな気がしている。
落語の世界への架け橋となる、とてもいい一冊だと思う。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2020年12月26日
- 読了日 : 2020年12月26日
- 本棚登録日 : 2020年12月26日
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コメント 1件
nejidonさんのコメント
2021/01/03