イノベーションのジレンマ 増補改訂版: 技術革新が巨大企業を滅ぼすとき

  • 翔泳社 (2001年7月1日発売)
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18年6月開始、読了。なにをするべきかの結論は明確で、独立した小さな組織で小さな投資で小さく失敗し学ぶことである。社内の既存事業の影響を排除して不明確な新たな市場のニーズを探っていくためである。
一方で、なぜ巨大企業が失敗するのかの説明についてはあまり体系立っていない、理論的にあいまいな点が多い(その点を補完したのが「イノベーターのジレンマの経済学的解明」)。本書の説明では巨大企業の失敗は単に技術の発展可能性の見誤りのように見えるし、潜在的ニーズを捉える行動を矮小化しているように見える。「破壊的技術だから巨大企業が失敗する」では定義・区分自体から勝負が決まってしまっている。失敗の要因として求められる成長率と企業の規模に触れる一方、官僚的組織を失敗の主因とする過去の研究への批判をしていたが、本書で述べられていた評価プロセスや社内決裁の長さは結局組織の問題であり、どのみち同根の話に思える。結局本書の現象の説明として意義があるのはパラダイム・市場の不連続を起こすイノベーションがある、という点のみに思える。

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感想投稿日 : 2018年7月15日
本棚登録日 : 2018年7月15日

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