パトリシアという女性の一生を描いた物語。ただし2人分。
パットとトリッシュで分けられた彼女の人生は、世界ごと全く違う道を歩んでいく。
ひとつの名前に愛称が複数ある海外の名前の特徴をうまく使っていておもしろい。やはり名前は人生を決定するほどの力を持つのだ…。
と思っていたが、どちらにしてもパトリシアはパトリシアだった。それは本人もそう言っていたし、最終的に2つの人生が彼女ひとりに収束していったことからもそうなのだろう。薔薇という花はその名前でなくても同じ香りがするのだから。
パトリシアはどちらの人生においても意志が強く、活動的で、聡明な女性である。確かにパットの方が一見幸せに見えるけれど、トリッシュも幸せには違いなかったと思う。どちらの人生が彼女にとって良かったのか、読み終わって未だに答えが出せない。
パットとトリッシュと共に人生を追いかけていくうちに、彼女たちの子ども全員がかわいく思えてきてしまう。どちらかを選んでどちらかに会えなくなってしまうのは悲しい。いずれにしろパトリシアの子どもは音楽の才能を開花させるのが興味深いところ。
そんな風に考えながら読んでいたのだが、解説を読むと全く違った視点での考察があり非常に勉強になった。こういう、自分に足りない視点や知識で物語を読み解けるのも翻訳本の良いところだ。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
SF
- 感想投稿日 : 2018年2月10日
- 読了日 : 2018年2月10日
- 本棚登録日 : 2018年2月10日
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