ショーペンハウエル 「自殺について」
著者の代表作「意志と表象としての世界 」の補論集。論考テーマは 自殺、生の空しさ、悩み、存在としての不死など。各テーマ共通して 厭世的な雰囲気はあるが 暗さはない。
著者の言いたいことは「世界は表象に過ぎないのだから、苦悩や不幸も表象に過ぎないし、存在として人間は不死なのだから、個体としての死は意味がない」ということだと思う
「生は夢であり、死は目覚めである」「人生は迷妄であり、人生そのものに内容はない」など 一見すると、死を積極的に捉えたり、自殺を増長しているような言葉もあるが、読み進めると なるほどと思う。
「生は夢であり、死は目覚めである」
死の前に 存在としての不死性を認識せよというものだと思う。存在としての不死性は、キリストの復活や永遠性と関係しているのか?
人生を「現在の各瞬間であり、いまは既に終わっているもの」と定義した上で「人生は迷妄であり、人生そのものに内容がない」
人生を追憶することに意味がなく、幸福を求めたり、不幸に苦悩することに意味がない という意図だと思う
悩みや自殺に関する言葉は、かなり本質をついているように思う
*私たちが意欲することがそのまま私たちの不幸なのである〜意欲は満足させられるものでないから、人生は悩みとなる
*人間の一生は、全体として観ると悲劇であるが、部分的に眺めると喜劇である
*自殺は、生きようとする意志の現れである〜いつまでも生きたいという志向が、耐えられないほどの苦悩によって打ち負かされた結果である
*自殺によって滅ぼされるのは、生そのものでなく、生の現在的な現象であり、個体のみにとどまる
*自殺は、苦患に充ちたこの世の中から形の上からだけ解脱することで紛らわすこと
- 感想投稿日 : 2021年9月27日
- 読了日 : 2021年9月27日
- 本棚登録日 : 2021年9月27日
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