論語について (講談社学術文庫 61)

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  • 講談社 (1976年9月1日発売)
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吉川幸次郎
論語 講演集。第一人者の説明は わかりやすい。

孔子の肯定的人間観を知ることにより、論語の説教くさい道徳規範書のイメージがなくなり、人間のあるべき姿を描いた文学に感じた。

論語の どの現代語訳を読んでも しっくりこなかった「仁」や「五十にして 天命を知る」の意味が、目からウロコのわかりやすさ。


論語に反映した孔子の人間観
*人間は大きな可能性を持っている
*人間の可能性を生かす方へ進むのは人間の使命
*人間は使命と同時に運命(生命の有限性)を持っている
*現在の人間には失望しているが、未来の人間に対しては期待している
*文明主義=人間は文明の生活をしてこそ人間である
*人間の一生は仕事である、仕事をすればこそ人間である
*人間は生きるために学問が必要〜書物を読まなければならない
*善意に対してこそ善意をもって報いよ、悪意に対しては正義をもって報いよ


仁の定義
*仁=人間相互の愛=人と人との愛情〜その愛情を増大してお互いが生きていくこと
*人間の人間に対する愛情である
*仁の正しく行使のためには 学問による広い知識が必要
*愛情の行使は 政治を通して行うことが最も効果的

五十にして天命を知る
*人間以上の存在としての天
*天=宇宙の秩序の具象、万物は天の所産
*顔回の死は 孔子の滅亡でもあると嘆いている〜滅亡を生んだのは天
*命=人間は使命と同時に運命(有限の生命)を持っている

孔子の理想的政治
*仁による文化的政治の実践
*文化国家であった周(文王→武王→周公)

君君たれ、臣臣たれ〜
*人間に必要なのは秩序である
*臣は君に絶対服従せよという教えは存在しない

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2022年7月18日
読了日 : 2022年7月18日
本棚登録日 : 2022年7月18日

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