朝鮮紀行 (講談社学術文庫)

  • 講談社 (1998年8月10日発売)
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感想 : 3
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李朝末期の朝鮮を旅をした英国婦人。イザベラ・バード。日本紀行を読んでから、景色の描写の巧みさ、事物の観察の細かさに驚いた。朝鮮紀行があることを知り、読んでみたかった。旅行中に大量のメモを書いたのだろうが、旅行記の中で、荷物を流されたり、水に濡らしたりとあったが、よく詳細な旅行記が書けたと驚く。
李朝の腐敗した官僚達により多くの搾取を受ける農民達は、自分たちを養う最低限のものを得ればそれ以上の勤勉は放棄している。持てば役人から取られてしまうからである。これと比較して、ロシア領に移住した朝鮮人達は、働けば働くだけ自分たちのものになるため、住まいも衣服も食べ物も、母国の朝鮮人たちとは比べ物にならないほど立派である。民族の違いで無く、搾取の有無でこうも違うのか。
ソウルの近くの麻浦から漢江を船で上流に遡る。途中荷物が水没したり、雨でずぶ濡れになったり、それでもへこたらず、川岸の奇麗な景色や古い石の像などを眺めて行くバードがすごい。
李朝末期で、国王(高宗)や王妃(閔妃)に拝謁し、個人的に話もしている。英国婦人のバードには優しく接している。そしてバードは、日本人の閔妃暗殺の時期に居合わせている。臨場感ある記述でどのように日本人たちが宮中に侵入し王妃を殺害したかがわかる。
日清戦争の結果、李朝朝鮮は清から独立して大韓帝国となり、日露戦争に勝利した日本は韓国併合の道へ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: キンドル
感想投稿日 : 2020年8月12日
読了日 : 2020年8月12日
本棚登録日 : 2020年6月25日

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