2020年大学入試問題からの第2弾である。
帯には「新しい教育に適応できている先生は、ごくわずか。今こそ教える人間の資質が問われる」としている。つまり、文科省の改革を是としている立場である。また、はやりのアクティブラーニングの良さも書いている。
現役の教員(校長)であるらしいが、はっきり言って現状の子供を試ているとは思えない。
この本は高校を対象とした話であると思うが、アクティブラーニングやディベートを行う。または問のない答えを考え、自分の意見を述べる授業をしたらいいという。一見良さそうであるが、前提となる基礎学力には何も触れていない。
きちんとした議論や話し合いが成り立つには、グループの知識レベルがある程度一定でないと、成り立たない。大学生と中学生と小学生をグループにして、まともな授業が成り立つのかを考えればわかる。三度の飯よりも勉強が好きという子供もいれば、苦痛で仕方のない子供もいる。その嫌いである子供も含めて、これまでの教育で知識の強制をすることで一定の教養が身についてきた事実も無視されている。
また、この手の本にありがちなのは、外国の例を出して日本のダメさを指摘することである。これもまともな引用ならばよいが、やり方の一部を取り出して、結果と無理やり結びつけている。今以上の学力向上には、アクティブラーニングや答えのない問題を議論することではなく、教員が教育に集中できる環境を作ることであると確信している。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
教育
- 感想投稿日 : 2017年5月2日
- 読了日 : 2017年5月2日
- 本棚登録日 : 2017年5月2日
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