天才による凡人のための短歌教室

著者 :
  • ナナロク社 (2020年11月14日発売)
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本棚登録 : 1345
感想 : 87
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twitterの川柳仲間さんの中には、短歌も詠まれる方がおられます。
そうした短歌ツイートを読ませていただくうちに、自然と短歌にも興味を持ちました。

こちらの「天才による凡人のための短歌教室」は、ブクログでフォローさせていただいているまことさんのレビューから知った1冊です。
「天才による凡人のための…」とは、なかなか思いきったタイトル!(失礼(汗))とおもって手に取りましたが、のっけから「僕は天才ではない。」(引用)とあり、やや混乱…!
要はこの本で短歌のコツを伝えることで、まだ短歌を始めていない未知の天才たちにはやく天才になってもらい、著者を撃ち抜く短歌を詠んでほしい…ということだそう。

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第2章の「短歌をつくる」では、短歌入門書では味わえない、歌人ならではの短歌を詠むコツがわりと淡々と書かれています。
なかでも驚いたのが「助詞を抜くな。」(46ページ)でした。
それというのも川柳を詠むとき(わたしは主にtwitterで川柳投稿をしています)、字数やリズム感を第一に考え、結構助詞を抜いてきたため、助詞抜きが身についてしまっていたからでした。

なんでも助詞を抜くというのは短歌初心者によく見られるそうで、一概にだめとは言えないまでも、「31音の流れにぶつ切り感が出てしまい、ビギナー感まるだしとなる。」(46ページ)のだそう。ひぇっ、そうなんですか?!(汗)
このページには著者が最初に作った短歌として、
「針に糸通せぬ父もメトロでは目を閉じたまま東京を縫う」(46ページ)が載っていました。
著者はこの短歌を、いまなら「針に糸を」とし、助詞は抜かないと述べています。
「を」がなくても、というか入れない方がわたし好きなんですけど、短歌のプロから見ると「う〜ん、、推敲したい…」となってしまうのでしょうね…
そうなんですね…
とまあ、川柳と短歌の違いもちょっと感じることができて、その点でもおもしろかったです。

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本編の短歌よりも、巻末作品として収録された短歌のほうが、好きなものが多かったです。
以下、好きな短歌をいくつか。

【本編より】
・詩集から顔を上げれば息継ぎのようにぼくらの生活がある(65ページ)
・ショッカーの時給を知ったライダーが力を抜いて繰り出すキック(77ページ)
・細々と暮らしたいからばあさんや大きな桃は捨ててきなさい(77ページ)
・リクルートスーツでゆれる幽霊は死亡理由をはきはきしゃべる(78ページ)

【巻末作品より】
・先生へ、あなたの胸でねむる夜以外はすべて手に入れました。
・気を抜けば平凡となる人生へ西荻窪という劇薬を
・どこへでも行けるあなたの舟なのに動かないから棺に見える

ちょっと影のある短歌が、好きなようですわたし。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: コトバ
感想投稿日 : 2023年4月7日
読了日 : 2023年4月7日
本棚登録日 : 2023年4月7日

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コメント 4件

まことさんのコメント
2023/04/07

こゆきうさぎ148さん、こんばんは♪

こゆきうさぎさんは、川柳を投稿されていらっしゃるのですか。
私は短歌を詠み始めて1か月、新聞投稿を始めて1か月の若輩者です。
川柳も、面白そうですよね。
Twitterに、お仲間がいらっしゃるのですね。
ブクログでは、私のフォロワーさんでは、短歌が流行っているように感じます。
もし、短歌を始められることがあれば、是非、ご一緒しましょう。
こゆきうさぎさんの、ご紹介の本も楽しみにしています。

こゆきうさぎ148さんのコメント
2023/04/07

まことさん
コメントありがとうございます(^^)

1年ほど前から川柳を始めまして、twitterの川柳公募などに挑戦しています。
落選がほとんどですが、たま〜に入選することもあり、またtwitterには川柳の猛者先輩がたくさんおられて、作品に刺激を受けながらなんとか続けられています。

短歌は読むばかりでしたが、いまtwitterで短歌の公募を見つけて2句ほど投稿してみたところです(^^)
(#金ミル短歌を詠もう というカンロの公式キャンペーンです)

まことさんは短歌を詠まれるのですね!投稿先があると、励みになりますね。
最近読んだ短歌の本では、穂村弘さんの「はじめての短歌」が本当によかったです!

朝ドラや俵万智さんのツイートなどの影響もあるのか、短歌のブームがきてますよね。
フォロワーさんの感想でも、短歌の本を何冊かみました。
朝ドラは見てなかったのですが(汗)、短歌のほうはすこし追っていたので、その歌集が出ると聞いてたのしみにしています。

わたしも短歌の方も機会を見つけて少しずつ詠んで見ようとおもいます。
またよさそうな本がありましたら教えてください!
よろしくお願いします〜(⁠^⁠^⁠)

こゆきうさぎ148さんのコメント
2023/04/07

まことさんへ

あっ、応募した短歌のくだり、つい2句と書いてしまいましたが、短歌なので2首でしたね(汗)
お詫びして訂正いたします!!

ちなみにtwitterで応募した短歌のキャンペーンで、枡野浩一さんの短歌をはじめて読みました。
2首あったのですがどちらも素敵で、ノートに書き留め、歌集も予約したところでした。

まことさんの本棚にあった枡野さんの「かんたん短歌の作り方」も気になりまして、こちらも早速図書館で予約しました。
図書館のものは2020年はっかんの旧版になるようですが、読んでみたいとおもいます(^^)♪
本との出会いをありがとうございました!!

まことさんのコメント
2023/04/08

こゆきうさぎ148さん♪

お返事ありがとうございます。
こゆきうさぎさんは川柳で入選されたことがおありなんですね!
凄いです。
私は本当にまだ、短歌を詠み始めたばかりで、全然です。
穂村弘さんの「はじめての短歌」は私も本当に参考になってよい本だと思いました。
これから、短歌の方もされるとのことで、短歌ブームに負けずお互いに頑張りましょう!

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