生き残った帝国ビザンティン (講談社現代新書 1032)

著者 :
  • 講談社 (1990年12月20日発売)
3.48
  • (4)
  • (8)
  • (18)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 89
感想 : 11
5

最近学術文庫化された一冊。この本は、僕が持ている本の中でたぶん最も古い本である。記憶に残っているのは中学二年の時に読んでいた記憶だから、たぶん初めて通して読んだ新書だと思う。
これでしばらく、僕はローマの歴史が研究したくなっていた。
真摯な研究者が淡々と資料をもとに歴史を語る。しかし、その言葉の一つ一つにドラマがある。こんな不思議な味わいは、現代風身に味付けされた歴史小説からも、歯ごたえをいとわない学術論文からも味わえない。
新書というしょもつのもつ意義はここになるんだろうなと思ってします。
登場人物の中では、圧倒的にマヌエル二世が面白い。斜陽の帝国、迫りくるオスマン軍、援軍を請う西洋旅行、「ギリシア人の皇帝」、、、。一つの国が滅びるとき、「古き良きもの」=ステータスを一人の人間が体現することがある。昭和天皇を知っている世代ならばだれしも想像がつくかもしれないが。そんな哀愁と耽美を最後の章からは感じることができる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ローマ・イタリア
感想投稿日 : 2009年2月18日
読了日 : 2009年2月18日
本棚登録日 : 2009年2月18日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする