片想いには秘密がある (もえぎ文庫 ピュアリー)

著者 :
  • 学研プラス (2008年6月1日発売)
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本棚登録 : 76
感想 : 6

取り寄せ先:多摩市立関戸図書館(受け入れ先:目黒区立八雲中央図書館)

前置きとして
なぜ多摩市がお買い上げになったのがよくわからない(多摩市初のボーイズラブがこれでいいのかしら? いいのか……)。

本題
南原は意識を飛ばしていないのでまだ許容範囲であるのだが、問題はイラストの旭姫だろうか。
自らの抱える「部分対象に対してのフェティシズムな欲望の投影行為」の前に思考停止状態に陥り、あまつさえ「伝統」という語を持ち出してしまっているからだ。

テッサ・モーリス・スズキ(この人を何度も引き合いに出すのは私の悪いクセか)『愛国心を考える』のなかにこのような一文が登場する。

―愛は強烈な感情であり、だからこそ、危険を伴うものなのだ(テッサ2007:P66)

つまり、旭姫にはこの意識がそっくり欠落しているのだ。そしてそれゆえに本書が捕らえようとしていたはずの問題に切り込めなくなってしまい中途半端な構成に仕上がっているのだ。

ついでに言っておくが
この作品がダメな部分として、「自らが性的行為の主導をとりたい」という安易なマスキュリニティの表明に集約されるだろう。多賀太『男性のジェンダー形成』を再読のこと。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 借受:貸借便
感想投稿日 : 2009年3月10日
読了日 : 2009年3月10日
本棚登録日 : 2009年3月10日

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