革命について (ちくま学芸文庫 ア 7-2)

  • 筑摩書房 (1995年6月7日発売)
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本棚登録 : 531
感想 : 31
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政治学に疎い自分でも、フランス革命やアメリカ独立運動についての初歩的な情報をもとに、わりかし味のある読書として消化できたのは予想外で喜ばしい限り。
文体は論理的かつ語彙も柔らかく、シンプルで読みやすい。活動という実際的行動に目を配るアーレントは、近代ヨーロッパが辿ってきた極度に知的で合理性を重んじる合一的な枠組みからの脱却と、その批判の目は絶やさないよう気を配っている。
革命が内包する困難さ、そしてそのはじまりに還ろうとする革命観には驚かされた。
新たな価値観を生み出す革命が、アメリカという国において、ようやくその共和制という形として結実したその功績をアーレントは指摘する。
彼女のフランス革命批判には、確かにマルクス主義という全体的国家に対する鋭い視線が土台となっている。
まさに、その時代を直視した人間ならではの危機意識を正気で持って捉え、未来に問題として投擲する。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2024年1月25日
読了日 : 2024年1月25日
本棚登録日 : 2024年1月25日

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