一つの決定がかくも人の未来を変えるのか……と。
ヒロインの結婚という決断を起点に、それぞれ二つの世界が並行して描かれるパラレル小説。
秀逸だなあと思ったのは、どこまでも人間ドラマを描きながら、私たちが知り得る「現実」とは少しずつ違うこと。
それは「ちょっとした決断で、世界は大きく変わり得る」と思わせる静かな迫力に満ちている。
また、どちらの世界にも「性」の曖昧さが書かれていることも興味深かった。
そして当然のことながら、選ぶ相手が違えば、「生まれてくる子ども」は違うという事実……!
そこからさらに生まれてくる子どもたちも変わる。関わる周囲の人間たちの運命も変わる。
なんという運命という名の模様の数々。
大聖堂やモスクの美しい天井画を思い浮かべてしまった。あらゆる形、色がはめ込まれている。
無数にある世界線の、それぞれの模様が違う。
なんとも恐ろしくて、そしてじんわりと静かな気持ちになった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
海外文学
- 感想投稿日 : 2017年12月20日
- 読了日 : 2017年12月16日
- 本棚登録日 : 2017年12月16日
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