証し (幻冬舎文庫 や 10-2)

著者 :
  • 幻冬舎 (2008年4月1日発売)
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過去に金のために卵子を売った木綿子と、不妊に悩みその卵子を買った絹恵。
二人の「子供」である16歳の恵哉が、一家四人惨殺事件の嫌疑をかけられ自殺した時に、彼女達は出会う。
犯人が現場に残した「VS」の謎が解けた時、二人は恵哉の心の叫びを知る。

朝倉木綿子が狂気じみてて恐すぎる。最早、異常人間に見えてくる。
遺伝子上の母と産み、育てた母。二人が彼の「母親」であるのは真実。
でもそれは果たして、彼にとっても真実であったか。

事実、彼は孤独だった。事実、二人の母としての愛は空虚だった。
「遺伝子上」と「産んだ」と言うだけの表面的な事実のそれに固執し、しがみ付いていただけに過ぎない。
真実を知ってしまった彼の心の孤独は、果てして誰が知り得ただろうか。
大人の我儘に子供を振り回すのは道理じゃない。

構成、伏線、描写、文章力、総てにおいて中途半端。未だこの著者の力量では無理がある。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2008年6月6日
読了日 : 2008年6月6日
本棚登録日 : 2008年6月6日

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