微分方程式入門 (サイエンスライブラリ数学 2)

著者 :
  • サイエンス社 (1996年11月25日発売)
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筑波大学の授業科目「解析学Ⅲ」の教科書。
後半が残念だがギリギリ良書。

理工学でよく現れる形の微分方程式について、一般化した複数の解法をまとめている。特定の問題の最適な解法を示すのではなく、汎用性が高いのが特長。
これから解法を解説する例題を枠で囲ったり、一般化した方程式の形(型)は網掛けして強調したりと工夫されており見やすくまとまっている。前述の通り、複数の解法がまとまっているので、実際の問題にあたってハンドブックとして永く使えて重宝する。
比較的に説明は丁寧で良いのだが、後半の応用事項の範囲に入ると急に説明不足になって式の羅列が増えていってしまうのが惜しい。証明は数学的に示すだけでなく、読者に理解できるよう示すことも必要だろう。解の一意性とか特異解の有無など、数学を道具として(信用して公式的に)盲信して良いかを判断する重要な事項があるだけに残念である。式展開は丁寧なのでその点ではまだ良いが。
方程式の解の理工学的な解釈は言及されていない。あくまでも数学の書であって住み分けしているということか。理工学の様々な分野を学んでいる内に、本書で見かけた方程式が登場して、再確認するということが多々ある。価格は手頃。

教科書に使うのは前半(100ページくらい)までで、後半の内容には別書が指定されている。その意味で教科書としては適当だろうか。

目次
1.微分方程式
2.1階常微分方程式
3.定数係数の2階線形微分方程式
4.2階常微分方程式
5.級数による解法
6.高階微分方程式および連立微分方程式
7.偏微分方程式
8.ラプラス変換
9.解の存在と一意性その他

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 大学指定教科書
感想投稿日 : 2018年2月2日
読了日 : 2018年2月2日
本棚登録日 : 2018年2月2日

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