日本モダニズムの未帰還状態 (りぶるどるしおる)

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  • 書肆山田 (2016年7月30日発売)
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本書は<言葉/イメージ>という区分を横切る構成になっており、後半ではイメージの横断を試みる。ドゥルーズによる画家ベーコン論を検討する部分では、矢野氏自身がモダニズム絵画の先例を受けて制作してきた経緯もあり、「モダニズム絵画」と呼ばれる行為と思考の条件の再構成を問うている。ここでは<手/眼>の区分を横切る色彩の経験に、この再構成が賭けられる。本書によると、ドゥルーズが色彩をこの再構成の手がかりとして示している点が、この国では看過されてきた。これも「日本モダニズムの未帰還状態」の一端だろう。本書はドゥルーズの枠組をも内包する問いの提起を試みており、ドゥルーズを欧米の文物の一つとして消費する議論とは異なる。この困難を経て「日本モダニズム」は、逆説的にも、「日本」を横切る普遍として「帰還」するだろう。(松本潤一郎)

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感想投稿日 : 2017年10月12日
本棚登録日 : 2017年10月12日

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