【再読】
『生とは何か 死とは何か・・・
よくインド物の紀行文や写真集にはこの手のテーマがわりと厳粛に取り上げられているが・・・
実際 まのあたりにしても 別になんの感情もわかない
(p.61)』
マンガ雑誌『ガロ』の連載で有名な漫画家、ねこぢるから見た、信仰とアナーキーな旅、インド編。再読しました。自分は実際にインドに行ったことはなく、またこの本の出版も1998年なので、現在のインドがどのような状態なのかは分かりませんが、それでも、「カルチャーショック」というにはあまりにも強烈な事実を、実に淡々と何も考えないで記しています。
すべてにおいて信仰に勝るもののない場所。たしかに日本とは比べ物にならないくらい別世界のように感じられます。また、そんな世界に溶け込んでいるねこぢるを見ると、色々な意味で自分が不安にもなってくる気がします。途中途中に挟まれた筆舌に尽くし難いエピソードやインドで生きる人々の実態は、淡々と描かれてはいるものの、とても哲学的な問いを投げかけているようにも感じられました。
しかし、どうしてねこぢるは2000年のクンブメーラを前に、命を絶ってしまったのか、そして19話の意味深なトンビ・・・。最期までしこりのある旅行記でしたね。
第4話、6話、8話、12話、13話、14話、16話、18話は、個人的にはかなり衝撃を受けた話で、同時にねこぢるという作家にものすごく惹かれた話でもあります。
読書状況:積読
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- 感想投稿日 : 2021年11月7日
- 本棚登録日 : 2021年7月1日
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