ロシアのウクライナ侵攻を見て、戦争と経済の関係をおさらいするために本書を再読
過去の戦争において、どれくらいの戦費がかかったのか。本書を読むと、日本の行った太平洋戦争が、いかに経済合理性に欠けていたのかがよくわかる。(1章)
戦争の資金調達という観点からも、日露戦争はうまく立ち回っていたのに、太平洋戦争においては、当時グローバル金融システムの主導権を握っていた米英を敵に回しどん詰まりの状況を自ら作っている。(2章)
GDPを用いて戦争と経済を読み解いた3章も、戦争とインフレの関係が読み解かれており、わかりやすい。また、実は日本は隠れたテロ大国と紹介されているが、安倍元総理が銃撃されたこともあり、むべなるかな。
4章は日本の日清・日露、太平洋戦争の戦局と株価の関係が興味深い。また戦後の日本復興は、朝鮮戦争特需による外貨獲得が大きな役割を果たしたこと等が理解できた。
5章は地政学のポイントが押さえられている。
現在も、本書の見立てとほぼ同じ状況にある。
ロシアはグローバル金融システムから切り離されたが、それでもウクライナの侵攻に踏み切った。太平洋戦争に踏み切った日本に似ているようにも見えるが、ロシアは資源供給国であるところが大きく異なる。今後の戦況とロシアへの経済制裁がどのように影響していくかを考えるうえで、本書は基礎知識を把握することができ、参考になると思う。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
政治・経済
- 感想投稿日 : 2022年9月2日
- 読了日 : 2022年9月1日
- 本棚登録日 : 2016年8月22日
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