隣り合わせの灰と青春 (幻想迷宮ノベル)

著者 :
  • 幻想迷宮書店 (2016年4月11日発売)
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感想 : 21
5

ウィザードリィ第一作「狂王の試練場」のノベライズ作品。
いわゆる「ウィザードリィあるある」を、数多く、かつ自然に詰め込んでいるのが最大の魅力である。

・転職するとなぜか年齢が上がる
・パーティに盗賊は2人もいらない
・どんなに強くても首を刎ねられると即死
・寺院は大金を取るくせに、復活に失敗しても返金してくれない

といった、当時のプレイヤーならニヤリとすること間違い無しのネタがてんこ盛りだ。

特に善と悪の混成パーティについて、酒場では組めないがダンジョン内でなら編成可能という裏技?を、
「あんな奴と酒を飲むのはお断りだ。ダンジョンで現地集合にしよう」
という展開にしたのは、見事というほか無い。


またそれを抜きにしても、一本のファンタジー小説としてもクオリティが非常に高い。

緻密な情景描写。
迫力ある戦闘描写。
二転三転する終盤の展開。
そして爽やかなラスト…。

読み終えたときには、きっと一本の大作RPGをクリアし終えたときのような感動を味わえるだろう。


本書は、その完成度の高さから、後の「和製ウィズ」の世界観に大きな影響を与えたとまで言われるほどの名作だ。

自分でも読んでみて、面白いという噂は聞いていたが、これほどまでとは思わなかった。
あまりの面白さに、ページを捲る手が止まらなかった。
ウィザードリィに興味がある人も、ない人にも、ぜひ読んでみてほしい。

特に近年、この手のジャンルでは、ラノベや「なろう小説」の台頭が激しい。
でもたまには、挿絵がなく、セリフじゃなくて地の文で描写する小説を、想像力を働かせて読むのも良いものではないかと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2021年6月20日
読了日 : 2021年6月20日
本棚登録日 : 2021年6月20日

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