おそらく、難しそうという印象をもたれるかもしれないが、そんなことは決してない。
むしろ、僕みたいな頭の悪い人間が読んでもよくわかる。対談という形を取っているからこそわかりやすいということもあるだろうが、テリーさんの鋭いようでいて庶民感覚あふれる質問に、青山さんの答えが具体例を出し、なおかつ政治家のような灰色な答えや余計な修飾語を使って言葉を飾ることがないため、非常にわかりやすい。
テリーさんが序文でこう書いている。
「ある程度は予想していたことではあったが、それにしても日本の外交・防衛戦略はもはや笑えぬ危機的状況にあるといっても過言ではない。だから、今回は「お笑い」にバッテンを入れた。」
そう、もはや笑っている場合ではない。この本が出たときから5年ほどがたった。その間にどれだけ日本の安全保障問題は進んだのだろうか。
今、日本は安全保障上の色々な問題を抱え、さらには憲法、国内法にかなりの矛盾が生じかねない事態になっている。
そして、自衛隊のイラク派兵の時もそうだが日本はテロの標的なりえる、ということを国民が理解し、またいざ有事の際に日本として何が出来るのかということを知っておかなければならない。
さらには、そこから日本の矛盾をどう現実に即して検討し、直していくか。
そうした問題は国会議員や官僚にだけ任せる問題ではない。
日本国民一人ひとりが考え、そして声を上げていくべき問題なのだ。
まずは現状を知っておいた方がいい。そうした意味でも、この本を僕はオススメする。
ちょっと出版が古いよ。と思われるかもしれないが日本の防衛戦略、あるいは安全保障はそれほど変わっていないように思える。
現実的に北朝鮮、あるいは将来的に中国が、あるいはロシアが、場合によっては韓国が、ひょっとしたらアメリカも日本の安全保障を脅かしてくるかもしれない。
そんな時に日本がどうすればいいのかを考えよう。そして、そういう時のために今どうすればいいのかを考えよう。
この本は現状認識だけではなく、そんな問題提起も含んでいる。
- 感想投稿日 : 2006年11月7日
- 本棚登録日 : 2006年11月7日
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