スワンソング

著者 :
  • 角川書店
3.16
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感想 : 64
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  • Amazon.co.jp ・本 (342ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048737890

作品紹介・あらすじ

携帯もメールもなかったあの頃、僕たちの恋は強く激しく深かった。それでも気づくことができなかった。彼女が心の底で、哀しく美しい歌をうたい続けていることを-。同じ職場で結婚秒読みの僕と由香の前に現れた、アルバイトの由布子。ラスト1ページまで突き抜ける哀しみのラブストーリー、大崎"恋愛"小説の最高峰。

感想・レビュー・書評

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  • 美しい大崎さんの描写を楽しめた。

    終盤は感涙もの。

  • 大崎善生らしい、静かで悲しい小説。
    全編が痛すぎて、ページを繰る手を止めて一息つかないと読み続けられないこと数回。
    泣きたいときにはいいけれど、へこんでいるときには読まない方がいいと思う。戻って来れなくなる。

  • 冒頭から終盤まで鬱々とした空気に飲み込まれそうになり、読むのをやめよう、私のような気質の人間が読むべきではないのでは、とも思った。
    それでも読み進めていくうちに引き込まれ、ストーリーを追い、馴染み深い安曇野、白馬美術館などが登場したこともあり、やめられなくなった。
    最後まで読んでよかった、救いが訪れた。

  • かつての恋人との思い出。

    同じ編集者であり同僚であった僕と由香。
    そこにアルバイトで入ってきた由布子のことを、僕は好きになってしまった。

    向き合おうとしなかった由香との別れ話。
    同じ職場という環境で、日に日に精神を削られていく由布子。

    真夜中に孤独に飲まれることを恐れ電話をかけてくる由布子のアパートへ駆けつけ
    身の回りの世話をし、泣きじゃくる彼女を寝かしつけ、
    翌日には会社へと向かう日々。

    それぞれの幸福だった思い出と同時に失ったもの。

    著者の本って久しぶり~。

    彼女の名前に由がつくの多いよね!ディスカスにパイロットフィッシュやら。

    って思ったけど編集者に北海道出身、ドイツ、恋人の別れ、死、
    話の内容も含めてまた似たり寄ったりな設定にちょっとうんざりした)^o^(

  • いろいろオーバーラップして、しんどい作品だった

  • 久しぶりの著者の長編小説。文章の上手さは相変わらずなのだが、どうしても感情移入できなかった。

    自分に依存してくれる人間の存在は、自分の存在意義を与えてくれる。
    由布子を助けるために良は存在している。
    その気持ちはよく分かるが、それだけ苦しんでいるなら早く仕事を手放すべきだったと思うし、どうしても良の自己満足にしか過ぎないような気がしてならない。
    良は由布子に甘えすぎたのだと思う。由布子が弱い、その立場に。
    良がフランクフルトに行った後には、由布子は一人で病院に行けたように、良という存在が寧ろ―彼女の芽を摘んでしまうような―摘蕾だったのではないだろうか。

    途中のアルマジェミアのエピソードの挿入は面白かったし、著者らしいとも感じられた。
    またあとで登場するかと思っていたけれど、そう上手くはいかなかった。

    この小説は新聞で連載され、著者にとって初の新聞小説であったはずだ。その時のタイトルは「摘蕾の果て」。
    こちらの方がより小説の世界観が出ると思ったけれど―こちらだと視点が由香に近いからだろうか―刊行される時には「スワンソング」となった。

    涙を流すよりも、良のその弱さ・脆さに嫌気が差してしまって悲しむことも無かった。それは、自分が恋をする頃に生きた時代にはもう携帯やメールがあったからなのかもしれない。電話でやりとりすることの苦労も感じなかったのだから。それを体験していれば、この小説は面白かったのだろうか。




  • あまりにも哀しすぎる恋の物語


    略奪愛
    一言で言ってしまえばそれで終わりだけれど、そこにはたくさんの苦しみが含まれていて
    奪われる方だけでなく、奪う方にも


    それこそ、山手線のように、苦しみや哀しみ、辛さ、そして喜びが3つの駅でぐるぐるとまわっている

  • 静かな音楽が流れているのを感じられる本。

    恋愛は結局はエゴだ。
    新しい出会いは必ず別れを伴うし、誰かを笑顔にさせた行為が誰かを泣かせる。
    人と人の出会いは傷を負うけど、それでも一度好きになってしまったら、もうその気持ちをなかったことにはできない。自分の心に嘘はつけないから、気持ちがその人に流れたことは取り消せない事実になる。

    美術館の場面や電話の場面など、ひとつひとつのシーンが映画のように美しい小説だった。

  • とにかく3人とも弱すぎ。特に主人公がだめすぎるし、実際こういう状況になったとしても絶対に女性はもっとうまく立ちまわる。会話とかはリアリティあるなぁと思ったけど展開が非現実的で都合よすぎなのでは。

  • 読んでてすごくイライラした。

    良、由布子、由香。どの人物にもまったく共感できない。

    良と由布子は共依存に陥ってるし、良は由布子を理想化しすぎてるし、由布子は嫌な甘え方してるし(あれは相手が自分のことを見捨てないと確信している女しかできないこと)、由香の「別れるってことは自分の人生を否定すること」とかなんとかいうのは全く理解できないし。じゃあ初めてつきあった人と結婚して添い遂げることでしか、価値のある人生は送れないの?

    なにより由布子が自分の娘に「由香」って名づけてるのが・・・狂気!
    仮にも自分の行動が引き金で自殺した女の人の名前だよ?
    なんの罪もない娘にそんなの背負わすなよ・・・

    とにかくイライライライラするお話です。
    好きな小説ではない。

    ただ、物語の質は悪くないから☆3つ。

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著者プロフィール

1957年、札幌市生まれ。大学卒業後、日本将棋連盟に入り、「将棋世界」編集長などを務める。2000年、『聖の青春』で新潮学芸賞、翌年、『将棋の子』で講談社ノンフィクション賞を受賞。さらには、初めての小説作品となる『パイロットフィッシュ』で吉川英治文学新人賞を受賞。

「2019年 『いつかの夏 名古屋闇サイト殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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