獅子の座―足利義満伝 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167168797

感想・レビュー・書評

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  • 足利義満を描く歴史小説。終盤は三宝院満済が主人公のようになる。義満の死に迫る歴史ミステリの要素もある。

    子ども時代は室町幕府二代目将軍の足利義詮の治世である。義詮は初代の尊氏と最盛期の義満に挟まれて影が薄い。尊氏死後は足利尊氏正室の赤橋登子が幕府を支えていた。赤橋家は北条一門であり、北条政子の伝統があるのだろう。登子は尊氏の庶子の足利直冬の認知に反対した。この点も政子と重なる。

    足利義満は天皇家も自分の支配下に置こうとした人物である。しかし、これは義満一人の野望であった。幕府を支える守護大名も朝廷には関心がなかった。「彼らが神経質なのは、各々の守護職とその統治する領国に関してで、朝廷から授かる官位はおよそ実を伴わないもの、名誉職でしかなかった」(183頁)。それ故に義満の野望は義満一代で終わり、継承者はいなかった。

    義満は応永一五年(一四〇八年)に子の義嗣を親王と同等の儀式で元服させ、参議に昇進させた。義満は義嗣を天皇にしようと企んでいた。天皇をしのぐ権勢を手に入れて法皇の様に振舞った義満であったが、自分が天皇に取って代わることは憚られた。自分の子の義持を征夷大将軍、義嗣を天皇にしようとした。しかし、義持からは義満が義嗣を偏愛して自分を廃して将軍にしようとしていると感じられた。このため、義持は義満に反発し、義満の死後、義満のしようとしたことは否定された。義満の説明不足である。

  • 古本屋へ

  • 面白かったのは初期の室町幕府の形態。もともと武力を伴わない脆弱な政体だということは知っていたのですが、それが明貿易により(土地=それに付属する武力では無く)財力で強化されていく様子が美味く描かれています。かなり入念な調査がされているようです。
    また、猿楽の新興なども描かれており、時代の雰囲気はよく伝わってきます。
    一方で凄まじい権力闘争を描きながら、他方で義満の恋物語を描くのは、流石に女性の視点でしょうか。しかし、そのせいでテーマが薄くなったような感じもします。
    よく出来た小説だけど、なにかぼんやりしたものしか残らない。そういう気がします。

  • 室町幕府三代将軍、義満の物語。生まれた頃は南北朝や政権争いで戦が絶えない時代。子どもが生まれ亡くなったばかりの細川頼之の妻・玉子を乳母に迎える。戦を逃れて、玉子が義満を守り、備前(岡山)の赤松家へ。当時は、乳母から離れられなかったという。そんな義満も成人し、政争の中をくぐりぬけていく。その逞しく、あるときにはずるがしこくもある立ち回りが面白い。少しは真似をしたい。今は社内で漂う身。。。

  • 30ページで挫折。
    足利尊氏とか、足利義満が何した人か思い出せない人には辛すぎ。

  • 2009/07完讀

    最近看了大河「太平記」,讓我從對南北朝時代有個大致上的了解,但南北朝分裂在尊氏時代並沒有解決,所以我讀了這本書。
    這個時代武將們的倒戈與鬥爭實在令人眼花撩亂,延續尊氏義詮時代繼續爭吵不休,加上還牽扯了公家與朝廷,不是很容易掌握;平岩處理得相當細緻,也寫得很全面,可謂是一本成功的作品。感覺是很節制、很具計畫性的寫作,好像根本就在大事年表上加血肉一樣,完全不跑野馬(但也因太沈穩了,除了結尾以外幾乎沒有什麼高潮迭起的感覺)。平岩採義満對皇位覬覦的說法,寫得也頗有說服力(老母的逆襲非常恐怖)。開頭對乳母純純的愛,在最後和満済的一夜銷魂昇華,也讓本書中段以來如日中天、稍稍失去「人間味」的義満,再一次讓我們看到人性。
    不過如果沒有被「暗殺」,義満的「夢」究竟會如何發展,這點我倒是很好奇ー號稱萬世一系的天皇家真的被阻斷,究竟時人會有何反應?但是義満死後結果倒是可想而知,如果義嗣真的變成天皇,這個時代的武家最擅長的是就是兄弟鬩牆 ,一定又免不了腥風血雨一番。(接觸到這個時代,我真的覺得戰國時代的人正常多了…)

    另外,我小時候很愛看一休和尚(一休沒在這裡登場讓我稍稍有點失望,或許在正史上他們兩個根本互不認識,但是卡通迷還是不免有所期待,如果他真的是後小松天皇的私生子,在嚴謹的平岩筆下會和義満擦出什麼樣的火花?)可是讀了這本才發現被誤導了耶,住在閃閃發光的金閣裡面的義満早就已經辭任將軍職三年以上了,可是一休每次都說「將軍大人」…好吧,總兵大人也不是總兵啦。

  • 足利義満


  • 足利義満の一代記。
    何もかも手に入れ、でもどこまでも孤独な男、義満の姿に
    今までの彼の見方がひっくり返りました。

    細川頼之好きとしては、彼の誠実な姿も見もの☆彡


  • 幼い思い出が作り出した乳母への不変の愛、新たな創造を試みる二人ならではの世阿弥との痛々しい愛、そしてのちの黒衣の宰相・三宝院満済との権力と暗闘の中での愛。
    切なく儚く、しかし強くあらねばならない獅子の慟哭の物語。感涙。

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著者プロフィール

東京都生まれ。日本女子大学国文科卒業。戸川幸夫の知遇を得、その推薦で長谷川伸の門下となる。1959年『鏨師』(たがねし)で第41回直木賞を受賞。1991年『花影の花』により、第25回吉川英治文学賞を受賞。また、これまでの業績により、1997年紫綬褒章を、1998年第46回菊池寛賞を受賞。2004年文化功労者に選ばれ、2016年文化勲章を受章した。著書に南町奉行所内与力・隼新八郎がさまざまな事件を解く「はやぶさ新八御用帳」「はやぶさ新八御用旅」シリーズや「御宿かわせみ」シリーズなどがある。

「2019年 『新装版 はやぶさ新八御用帳(十) 幽霊屋敷の女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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