ジャズ小説 (文春文庫 つ 1-9)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167181109

感想・レビュー・書評

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  • 「ジャズ」をキーワードに何か面白そうな本はないかと探してみて、読んでみようかと思った一冊。

    図書館で検索してみたら、1994頃の本で随分昔の作品だった。もう地下倉庫移されていたようだが、ちゃんと用意して最寄りの分館まで届けてくれた。図書館はありがたい(笑)。

    ジャズをめぐるエピソード話ではなく、すべてフィクションの短編集だ。筒井康隆氏のアドリブ小説である。

    登場人物やお店の名前などに、なじみの名前が登場したり、なじみの曲名がついていたりするので、なんとなく親近感を感じながら読める。

    だけど、ショート・ショートなので、結局内容は残らず忘れてしまう事間違いなし。たいくつな電車の時間を、楽しく過ごすための娯楽小説としての意味がある。

    本編て登場する曲が収められているアルバムが、巻末に写真と著者のコメント付きで紹介されていて、こちらのほうはせっかくなんで、読書記録に残しておこう。

    著者は、これらの曲を聴きながら本編を読むことをオススメされているが、むしろこれらの曲を聴けば、本編を思い出すかもしれないという感じかなぁと思う。

    ◆ルイ・アームストロング
     Hot fives,Hot Sevens
     At Town Hall
     Jazz Classics

    ◆ジェリー・ロール・モートン
     The Best of Jelly Roll Morton

    ◆キング・オリバー
     The complete Joseph "King " Oliver 1923/31

    ◆チャーリー・クリスチャン
     Memorial Album

    ◆アート・ブレイキー
     Art Blakey and the Jazz Messengers
     Au Club Saint Germain

    ◆フランク・シナトラ
     Only The Lonely

    ◆アート・ファーマー
     Brass Shout

    ◆ソニー・ロリンズ
     At the Village Vanguard
     Sunny Days, starry Nights
     Saxphone Colossus
     With the Morden Jazz Quartet

    ◆セロニアス・モンク
     Thelonious Himself

    ◆マイルス・ディヴィス
     My Funny Valentine

    ◆モダン・ジャズ・クァルテット
     Django

    ◆エラ・フィッツジェラルド
     JATP in Tokyo
     Ella in Berlin
     The Orignal Hit Performances

    ◆ビリー・エクスタイン&サラ・ヴォーン
     Vaughan Sings Irving Berlin

    ◆サラ・ヴォーン
     On Musicraft
     The Golden Mercury Years

    ◆ジョーティ・ロジャース、アンドレ・ブレヴィン
     Collaboration

    ◆ホレス・シルバー
     And the Jazz Messengers

    ◆デューク・エリントン
     The Great Paris Concert

    ◆ディジー・ガレスピー
     jazz at Massey Hall
     The Greatest of D.Gillespie

    ◆スタン・ゲッツ
     The King of Bossa Nova

    ◆ナット・キング・コール
     Mis Mejores Canciones

    ◆ビリー・ボリディ
     On Verve 1946-1959

    ◆チェット・ベイカー、アート・ペッパー
     Chet Baker Meets Art Pepper

    ◆リー・モーガン
     Introducing

    ◆ライオネル・ハンプトン
     Esquire All Stars

    ◆オスカー・ピーターソン
     At London House

    ◆キース・ジャレット
     Bye Bye Blackbird

  • 中学の時から筒井作品が好きで、いくつか読んできたが、これは初めて読みました。
    流石の筒井ワールド!重要保存版です♪

  • ジャズの名曲をもとに綴られるショートストーリー集。
    どのストーリーもサクっと読めるが、最後まで読まないと気が済まない!
    その気持ちを起こさせるリズミカルでちょっとシュールで巧みな展開。おもしろい!

    後半には作品に出てくるジャズナンバーの解説付き、作品解説に山下洋輔という。なんと豪華!

    個人的には嬉しすぎる1冊。
    珍しく繰り返し読みたくなる作品に出逢えた。

    「ライオン」「はかない望み」「ラウンド・ミッドナイト」
    「懐かしの歌声」がお気に入り。

  • ジャズ・フリーク「筒井康隆」が、こよなく愛する古今の名ナンバーを題材にして描いた短篇集『ジャズ小説』を読みました。

    『最後の喫煙者―自選ドタバタ傑作集〈1〉』に続き「筒井康隆」作品です。

    -----story-------------
    こよなく愛する古今のジャズの世界を題材にした、時に恐怖、時にたのしい十二の物語。
    著者の“原点”ともいえるSFファンタジー。

    「ルイ・アームストロング」、「アート・ブレイキー」、「ソニー・ロリンズ」、「エラ・フィッツジェラルド」、「ビリー・ホリデイ」…。
    名手の演奏するジャズの名ナンバーに触発されて描く、「筒井康隆」ならではの華やかな12の短篇集。
    恐怖あり、笑いあり、ファンタジーあり、ショートショートあり。
    解説は、畏友「山下洋輔」氏による「筒井康隆」論65枚の力作。
    -----------------------

    1994年(平成6年)6月から1995年(平成7年)5月にかけて「千趣会」発行のCDブック『Immortal Jazz Monochrome』向けに書き下ろされた作品… 全作品がジャズをテーマにしているのですが、作品のジャンルはSFからサスペンス、ドタバタ、ファンタジーと多岐にわたり、風刺あり、笑いあり、恐怖あり、不条理ありと多彩なバリエーションで愉しませてくれる12篇が収録されています、、、

    もしかすると、イチバンの大作は「山下洋輔」による46ページにわたる解説かも… という、ジャズの魅力をたっぷりと伝える一冊でした。

     ■ニューオーリンズの賑わい
     ■葬送曲
     ■はかない望み
     ■ソニー・ロリンズのように
     ■ラウンド・ミッドナイト
     ■懐かしの歌声
     ■恐怖の代役
     ■陰謀のかたち
     ■チュニジアの上空にて
     ■ムーチョ・ムーチョ
     ■ボーナスを押えろ
     ■ライオン
     ■附録 ディスク情報 文・鈴木琢二
     ■極私的逸脱的妄想的発作解説<筒井康隆の大音楽世界> 山下洋輔

    読んでいるとジャズを聴きたくなる… そんな佳作が並んでいましたが、そんな中でも、、、

    ジャズ・クラブのバーテンダーが、店に通ってくる素敵な女性の気持ちを掴んだ… と思わせておいて、実は試されていたという『はかない望み』、

    妻が自分の所属するジャズバンドのメンバーに恋してしまい、泣く泣くバンドメンバーと妻を引き合わせようとするが… 実は、自分にも喜ばしいことが待っていたという『ソニー・ロリンズのように』、

    芝居の歌の部分だけの吹替えを頼まれたジャズシンガーの女性が、役者の仕事まで奪うことになり… オチが読めるものの恐怖を感じざるを得ない『恐怖の代役』、

    ドラマーのことが気に入らないバンマスが、一旦ジャズバンドを解散・再結成することでドラマーをバンドから外そうと画策するが… 結果的に自分がバンドから追い出されてしまう『陰謀のかたち』、

    が特に印象に残りましたね… 久しぶりに、ゆっくりジャズを聴きたくなりました。

  • 1996年刊。ジャズの名曲をモチーフにしたショートショート集。筒井流のユーモアと捻りの効いたストーリーの数々。巻末の山下洋輔の解説も力作。

  • 筒井康隆さん素晴らしい…どれもこれも面白すぎ!
    しかし残念なのは、曲を私がちっとも知らないこと…通勤中じゃなくて家で読めば、曲を流しながら話を読むという最高の読み方が出来たな…。反省して次に生かそう…(>_<)

  • 筒井康隆による、ジャズにまつわるショートショート12篇。
    鈴木琢二による、本作品12編に登場するジャズのディスク情報36篇。
    山下洋輔による、極私的逸脱的妄想的発作解説、40ページ。
    三人によるトリオ・ジャズの態を成す一冊。
    ・ニューオリンズの賑わい
    サッチモが売り出しの頃のニューオリンズに時間旅行で訪れた夫婦が出会ったのは。
    ・葬送曲
    仲間の遺言で葬式に演奏したいジャズバンド仲間。でも奥様は許さない。
    奥様を尊重した妥協の果てに演奏した曲だが。
    ・はかない望み
    理想の女性に出会ったジャズクラブのマスター。まんまと行ったつもりが蜃気楼。
    ・ソニー・ロリンズのように
    妻がバンド仲間に一目惚れ。恋患いで死にそうな妻のために決意した夫が得たものは。
    ・ラウンド・ミッドナイト
    普段言いたい放題の評論家が、激怒したジャズドラマーに一晩中追われる話。
    ・懐かしの歌声
    懐かしい歌声だと誰もが絶賛するジャズシンガー。歌声の正体は意外なものだった。
    ・恐怖の代役
    主役も男も手に入れた女と奪われた女。役と現実がシンクロした結末は。
    ・陰謀のかたち
    メンバーをクビにしようと解散したが、自分がクビにされてしまったバンマスの話。
    ・チュニジアの上空にて
    ジャズ・ミステリー・ツアーの飛行機がチュニジア上空にさしかかったときに起きた大混乱。
    ・ムーチョ・ムーチョ
    愛の裏切りは死を以って償う、そんなラテンの血に目覚めてしまった男の話。
    ・ボーナスを押さえろ
    ギャラを着服するマネジャーと、着服への不満をぶつけ鬼気迫る演奏で名を馳せたプレーヤー。
    ・ライオン
    一宿一飯の恩義を返しに来たライオンの話。彼の咆哮は黒く、ジャズだった。

  • 初・筒井康隆作品!
    時かけ、富豪刑事など映像作品は見たことあるけど、小説を読むのは初めてでした!

    面白かった!ショートショート集なのだがひとつひとつに読み応えがある。「ライオン」が好き!

    影響されて、小説に登場した曲を聴いてみる。
    そういう楽しみもある小説。

  • 筒井ワールドの短編が12。
    それぞれにジャズの名曲やアーティストが散りばめられ、後半には小説に登場した楽曲のディスク情報まであるという親切さ。山下洋輔の解説が、これまた読み応えがあり、ジャズ好きにはたまらない一冊。

  • ・3/27 読了.昔からジャズをやっていたとは思わなかった.意外だったけど怖い話しが多かったのは気のせいだろうか.

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著者プロフィール

小説家

「2017年 『現代作家アーカイヴ2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

筒井康隆の作品

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