悲しみのゴンドラ

  • 思潮社
3.60
  • (1)
  • (1)
  • (3)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 23
感想 : 3
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (92ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784783728474

作品紹介・あらすじ

すぐれた絵画性と稀有の音楽性により、45ヵ国語を超える地域の読者を魅了するスウェーデンの生んだ世界的詩人、トーマス・トランストロンメル。詩人は簡明な言葉と鮮やかなメタファーで、美しい絵を描き、俳句への接近もこころみる。「群像」「ユリイカ」誌上で紹介され反響を呼び、刊行が待たれていた氏の本邦初訳詩集。本書には最新詩集『悲しみのゴンドラ』とその後の新作を収録。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • Waking up is a parachute jump from dreams.(17 poems, Prelude)

    詩とは、ぼくらの目の前に存在するもとの、目の前には存在しない何かとを結び合わせることだ。詩はこうしてぼくらに世界のあり方(Existence)を開示してくれる。そして、詩において先のふたつを結び合わせるひとつの営みが、“メタファー”に他ならない。

    トランストロンメルの詩が輝きを放つのは、簡勁な一行の中に織り込まれた“メタファー”のはたらきの峻厳さにおいてだ。

    Fantastic to feel how my poem grows
    while I myself shrink.
    It grows, it takes my place.
    It pushes me aside.
    It throws me out of the nest.
    The poem is ready. (Bells and Tracks, Morning Birds)

    そして詩の営みが成就される時、詩人は世界から姿を消す。
    詩という営みに内在する果てしない強度(Intensity)を、
    トーマス・トランストロンメルは、その極限まで生き抜こうとしている。

    トランストロンメル作品の邦訳が、この「悲しみのゴンドラ」一冊のみとは残念。

    興味のある方は、Robin Fulton氏英訳の“Tomas Transtromer The Great Enigma new collected poems”をお薦めします。トランストロンメル作品を幅広く読むことができます。

  • スウェーデンの詩人。彼の詩は45ヶ国で翻訳されている。絵画性と音楽性がトーマス・トランストロンメルの詩の特徴だ。読むとその景色が目の前に見える詩が好きだ。声に出して読むと心地よくなる詩が好きだ。この詩集を読みたい。

  • 2011年、ノーベル文学賞を受賞したトーマス・トランストロンメルの詩集。
    『悲しみのゴンドラ』は氏の病後(脳卒中)に発表された詩集。リストに同名のピアノ曲があり、本詩もワグナーやリストを俎上にのせる。俳句詩は、日本の俳句的ではなく格調の高い短詩の形態をとる。

全3件中 1 - 3件を表示

トーマス・トランストロンメルの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×