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この作品からのみんなの引用
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村上春樹は、人々が「邪悪なもの」によって無意味に傷つけられ、損なわれる経験を淡々と記述し、
そこに「何の意味もない」ことを、繰り返し、執拗に書き続けてきた。
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そして、おそらく、そのような危機の予感のうちに生きている人間だけが、「世界の善を少しだけ積み増しする」
雪かき的な仕事の大切さを知っており、「気分のよいバーで飲む冷たいビールの美味しさ」のうちにかけがえのない快楽を見出すことができるのだと私は思う。
― 210ページ -
私は村上文学は「共同体はどのようにして立ち上げられ、どのようにして崩壊するか」というすべての人間にとって根源的な主題を、ほとんどそれだけを執拗に書き続けていることによって世界性を獲得したと考えている。
― 135ページ -
仕事はきちんとまじめにやりましょう。衣食住は生活の基本です。家族はたいせつに。ことばづかいはていねいに。
というのが村上文学の「教訓」である。
それだけだと、あまり文学にはならない。
でも、それが「超越的に邪悪なもの」に対抗して人間が提示できる最後の「人間的なもの」であるというところになると、物語はいきなり神話的なオーラを帯びるようになる。
― 67ページ
みんなの感想・レビュー・書評
(41レビュー)>2/26 ウチダタツルはおもしろい。 内容はもちろん文章が。よみものとして。 よみやすく、受け入れやすい。 それは「これってあれそれなんだってー。なぜかは知らないけど」っていう、一般的に答えを出すべきところをぼかしている、というかわからないままにしているところにあるのかなと思った。 ええ!?ってなるより、そりゃそだよねって思って、受け入れるのだ。 普通だったら、そこわかんねえのかよ!... 続きを読む »
村上作品にはこんな読み方もあるのか、と感心した。内田さんの村上作品に対する理解はすごく深いし、大変参考になった。特に「うなぎ」と「雪かき」と「センチネル(歩哨)」の話が興味深かった。
村上春樹作品をめぐるエッセイのような。
著者さんの日常も楽しく読むことができつつ、
村上文学の秘密を次々に教えてもらえるお得な本。
ひとつの本質的なことがらについても視点やたとえを少しずつ変えて
ぐるりと書かれている感じが面白くってわかりやすい。
これまで村上春樹さんの作品を、
読んで気持ちがよくて、「読みたい何か」が書いてあるような・・
くらいの理由で楽しんでいたけれど、教えてもらうと改めて
おお・・そうだったのか~、と感動、たくさん付箋がついた。
言葉の使い方から倍音的な要素、「雪かき」や共同体の捉え方など。。
でも、そんな村上作品の秘密も探せばまだまだありそうな気が、
著者さんの力の抜けた語り口調を読んでいるとしてくる。
文学者である著者さんが村上春樹さんをとても信頼していて、
一読者としても作品が大好きなんだな、と伝わってきた。
村上春樹解説というよりは内田樹の解釈雑文。けどおもしろいし村上春樹のインタビューやらなんやらも網羅しており過去の村上作品に新たな解釈のヒントをくれる。とりあえず村上作品読み返したくなったのだから成功してる本と思う
解釈というより、この人はフィーリングを大切にしているんだということが分かる。
ところどころあれ?と思うところはあれど、新しい発見もいっぱい。
今は日本の批評家も親村上になってきてるけど…それは2006年くらいからなんだよなあ。
何よりもまず前書きが面白い。 はじめに――― ノーベル文学賞受賞のヴァーチャル祝辞 そういう表題の下で、ユニークな前書き文が始まっている。2006年の10月、ノーベル文学賞者発表の前日に、あるマスコミから依頼されて記したというコメントである。村上春樹党の党員としての凛とした筆致がとても印象的である。 この書こそ世に云う「村上春樹心酔派」の筆頭とも目されている評論家による「村上春... 続きを読む »
初内田樹。よく「武田鉄矢の今朝の三枚おろし」に名が出ていたが、読んだのは初めて。なんか、良かった。難しいから、理解にはほど遠いけど。もっと、頭よくなりたいな…
村上春樹は小説には「うなぎくん」が必要なのだという。
作者と読者、そしてうなぎくんの三者協議。
みんな読者と作家のあいだだけで、ある場合には批評家も入るかもしれないけど、やりとりが行われていて、それで煮詰まっちゃうんですよね。
でも、3人いると、二人でわからなければ「じゃ、ちょっとうなぎに訊いてみようか」ということになります。するとうなぎが答えてくれるんだけど、おかげで謎がよけいに深まったりする。
うなぎって、NLPでいうパートとかフォーカシングでいうフェルトセンスみたいなものなのだろうか。
わたしは中1から村上春樹が好きで読んできたし、何度も何度も読んだけど、わたしの読み方はまだまだだなあと思った。
こんな読み方があったんだ、と驚くと同時にこれだけ何度も繰り返し読んで来てもまだ新しい面がいくつもある春樹の小説は本当にすごいと思う。春樹の小説が好きなのは何度読んでも違った発見があって、何度読んでもわからなくて、でも居心地が良いから何度でも読めるためだと思う。
しかし内田さんが春樹論を書いてるとは知らなかった。ソシュールについての文章を読んで、この人は頭も人も良さそうだと思っていたが、無意識のうちにわたしの好きな価値観の匂いを感じ取ってたのかも。やっぱり春樹の小説が無意識レベルまで深くわたしの根っこに関わってるんだと思う。
内田さんのわかりやすくリベラルでユーモラスな語りもとても良かった!素敵な人だなあ。他の作品も読みたいです!
最近『スプートニクの恋人』を読んだ。ぐいぐい惹き込んでいくような面白さがあったので、英語版も買おうかなと(英語の勉強になるし)、昨日新橋の文教堂で迷ったんだけど、あまりの値段の高さ(1920円)に断念した。 それはさておき、こういう文学批評っていったいどこにその価値があるのだろうか。橋本治が「批評とマーケティング」で言っていたように、批評が社会をリードするのは(批評に意味があるのは)、”社会... 続きを読む »
文化的雪かき仕事という表現がとでも印象深かった。
誰も評価してくれる訳ではないけれど、この世に必要不可欠な仕事。
村上春樹に僕が惹かれる理由が父性の欠如にあるということを認識できたことが収穫だった。
村上春樹文学はひとつの宇宙論。
村上文学には父が登場しない。だから世界的になった。
強い人間なんてどこにもいない、強い振りの出来る人間がいるだけさ。
日本でも村上が日本文学をだめにしたとか言われるんだけど、僕ごときでだめになるような文学なんて、最初からだめだったんあjないかなって正直に思っていますね。
村上春樹は文壇的には孤立した作家。
村上は人々が邪悪なものによって無意味に傷つけられ、損なわれる経験を淡々と記述し、そこに何の意味もないことを繰り返し、執拗に書き続けてきた。
この本は、内田樹氏が自身のブログに書きためていたものをまとめた形になっています。ばらばら感もありますが、村上春樹はないものをないと書く作家であることがわかりました。
村上春樹の小説の世界観や村上春樹自身の考え方などについて書かれています。 その中で、村上春樹の小説には死者からの言葉がよく出てくるとあります。 著者はその意味を最初すごく考えていたが、そんなものにもともと意味自体ないという考えに至っています。これは小説の中で台詞にも「意味はない」とあることからわかります。 そこから、カフカなどの不条理の話になり、突然の病気やいじめ、事故、無能な上... 続きを読む »
村上春樹のことだけでなく、いろんなことについて感じて自分なりに考えて、意見を持って。でも、それが果たして正しい考えなのか、ほかの人はどう考えているのか意見を聞いてみたい。 そういうときに、この筆者の考えはすごく説得力があって、共感できるし、新しい発見も多い。 村上春樹の文学では、「雪かき仕事」の大切さがよく取り上げられているというのも慧眼だった。 「雪かき仕事」は特に賃金が払わ... 続きを読む »
「倍音の秘密が書いてある」と指令が来て読み始める。内田樹っておもしろいなぁ。村上春樹を読んだことないけど、読んでもいいかなぁと、ちょっと思いました。倍音の秘密も書かれていますが、まだ足りないような気がしました。
村上春樹について書かれた本の中で最良のもののひとつだと思う。
うまい言い方が見つかりませんが、「切り刻んで、並べて、洗って、ひとつひとつ手にとって論評する」式ではなくて、「頭から丸のみする」式の読み方をしているとでもいうのでしょうか。
![第3回 ブクログ大賞[2012]](/ad/1201/award_booklog200_65.gif)

