図書館のグラフィックノベル (バンドデシネBD) セクションで発見。
"またの名をグレイス (Alias Grace)"が好きだったから、結構積読状態のマーガレットアトウッド。
恐らく彼女の作品で一番有名? なこちらも、例外でなく原作も持っているんだけど、積読でした。
映像化もされているようだけど、私は原作をなるべく先に読みたい派なので、手っ取り早くBDで。
漫画やBDって本の何倍ものスピードで読める・・・。
絵のタッチが個人的に好き。
水彩ベースで、手の描き方がいい。顔はちょっと怖い。
これ作り上げるのにどれくらいの時間がかかったんだろう・・・(=> 3年かかったらしい)
アトウッドはカナダの作家さんだけど、絵のほうもカナダのアーテイストによるもの。
まず、この作品が1985年のものというのが衝撃。
ディストピアもの、フェムニズム、そんなキーワードは知っていたけど、あまり前情報を実は知らずにいました。
ディストピア要素としては監視社会(処刑アリ)がメイン。キリスト教原理主義の国家ギレアデ。
この世界では健康な女性は"侍女"という、"コマンダー(司令官)"の子孫を生産することだけを求めらる。
名前は"OfFred"= "フレッド (従事する司令官) の"というようにつけられる。
いわゆる"代理出産"的な感じなのだけど、出産時には椅子が二つ斜め上方につながったような(飛行機のタラップのような感じ)椅子の上部にコマンダーの妻が足を開いて座り(ひらいた脚の膝の間あたりに侍女の頭が来るかんじ)、下で侍女が実際に出産するのを疑似体験(?)するというようなちょっと不気味な部分もあり。ーーー本ではどう書かれていたのか?BDならではの生々しいかんじ・・・。ちなみに、性交渉は月に一度(タイミング法的な)、妻の立ち合いのもと行われる・・・。
子供を産めない女は女の価値がない。
健康な子供を産めない侍女は価値がない。
生物学的にはまぁまぁそうかもしれないけど(種の保存、進化的観点で)
子供を産むことが偉い、子供を育てることがえらい(そう言うことで、逆を貶めているように使われることもある)、そんな風潮ってありますよね?
それ、ステータスか???っていう・・・
Offredには夫と子供がいた。子供についてはあまり描写はなかった気がするけど、夫との過去のやり取りなどはたびたび登場。
オブフレッドは侍女になる前は普通の暮らしをしていた。
ある日突然、たばこを買いに通っていた店でカードが使えなくなり(店員も女性だったが男性に代わっていた)、理由も告げられず職場ではあの序を含めた女性が解雇される。
・・・夫の反応にイラっとした女性は私だけではないはず。
(角田光代さんの作品をちょっと思い出した。)
国家に不安を感じ、逃亡しようとするがつかまって離れ離れになる・・・
・・・という"そもそもどうして侍女になったの??過去は?"という読者の疑問にちゃんと答えてくれている部分は親切だが、色々疑問は尽きない。
続編でもっと色々分かるんだろうか。
極端な世界なので"ディストピア"とフィクションで読めるが
根底にある話って意外とリアルなんじゃないかな・・・
原作小説も読んでみたいと思うし、続編The Testamentsも積読状態なので読んでみたい。
確か今年か去年の春のwriting fesでアトウッドがイサカに来ていたと思うんだけど、トークを聞きに行けなかったのは残念。
でも、彼女のいいたいことが理解できるほど社会問題とか理解できていない気がする。