The Bartimaeus Trilogy: Ptolemy's Gate - Book #3 (A Bartimaeus Novel, 3)

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  • Amazon.co.jp ・洋書 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9780786838684

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  • 遥かエジプトの時代に魔物と魔術師との平等な共存を願ったPtolemy。その願いとは全く逆の未来となってしまった現代で、さらに魔法力がない普通人を加えて魔術師と魔物のつながりを作り上げたNathaniel(Mandrakeより戻りました!)、Bartimaeus、Kitty。けっこう厚い1部と2部、消化し切れていない社会設定や魔法使いと普通人、謎だらけの魔物の世界(Other World)…この長編の何もかも全てがこの3人がつながる最後の4、5章のために存在する。そしてこれはアメリカ産とはちがって英国人の書いた本だから、FF7と同じように何もかもがうまくは終わらない。
    NathanielがKittyに恋をしなかったら…いやそれはだめだ。好きだからNathanielはAmulet of Smarkandを彼女に渡すんだし、重傷を負っても出直すことを選ばない。最後の最後まで彼女が出来るだけ遠くまで避難できることを願っている。Nathanielはフランダースの犬のようにかわいそう。彼が作ったのではない歪んだ魔術師の社会で彼本来のまま生きることが出来なかったし、彼が呼び出したのではない強すぎる魔物を、たった2人しか彼の存在を望まない世界のために命をかけて倒さなければならないのか。彼の性格上、やらなきゃKittyの所へは帰れない。でも、でも。うえーーーーん。彼の望みは全て終わらせてKittyの所にBartimaeusと(どっちがたくさん足を引っ張ったか悪態をつきながら)帰ることだったのに。うえーーん。もうめちゃめちゃ泣きましたよ。やり合ってばっかりいるBartimaeusとNathaniel、2人の手綱をしっかり握っているKittyとの掛け合い漫才をもっともっと見たかった。
    Kittyは、こういうパターンによく見られがちなただ守られるだけの女の子、ではない。Ptolemyに続いてたった一人、Other Worldへ行って生還する(力を手に入れるために渡った魔術師はことごとく発狂、魔物を信じられた人のみが戻ってこられるらしい)。そしてその代償はほんの少し魔界で過ごしていた間に50歳ほどに年老いた自分の体だった。それでも2人をまとめ上げ、残った人々の救済に奔走(体ぼろぼろで走れないけど)する彼女。Resilence以外に魔法的能力は持たないけれど、きちんと地に足をつけて現実を見ているとても強い子である。戻ってこなかった2人に戦いの焼け跡でつぶやくKitty。"So much for your promises,"NathanielはKittyとの約束をとうとう一度も守らなかった。涙
    Kittyにとって戻ってこなかったのは2人だけれど、Bartimaeusが最初にNathanielの中に見た通り、最期に彼はBartimaeusを解放する(もちろん悪態つきで)。Nathanielと共に死ぬことを覚悟したBartimaeusは、Ptolemyに続いて、また残されてしまった。
    いつかKittyが、Bartimaeusを召喚しようと思い立つとか、大陸に渡ってあったJacobの息子(2人を結びたくはない)かなんかが召喚するとかして、NathanielがBartimaeusに託した"Say Hello to Kitty for me"を伝えられたらいい。きっときっと伝えられたらいい。邦訳はとっくに出ているようだけど、この訳が「よろしく」(普通の訳)でははく、「ただいま」と言ってくれ、だといいのに。(また涙) 

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