The Goldfinch

著者 :
  • Blackstone Pub
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感想 : 1
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  • Amazon.co.jp ・洋書 (3ページ)
  • / ISBN・EAN: 9781478980483

感想・レビュー・書評

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  • 読了後、いつまでも余韻に浸りたい、世界から抜けたくない、という読書の醍醐味を味わわせてくれる一冊。心が震えた。

    いえ、図書館で予約して借りたんですけどね。「こちらです」と差し出された時に、あまりの本の大きさと重さに絶句。通勤と国内出張2回の間に読む為に持ち歩くんですけど・・と動揺笑。それでも、結局ずっと持ち歩きました。僅かな空き時間ができたら少しでも読み進めたいと思う、そんな本だったから。

    さて、本題。本作は最愛の母を突然失い、人生が一変する思春期のTheoの長く、切ない物語。Theoの一人称により、美しい文体でNYCの、ラスベガスの、アムステルダムの、骨董品屋の光景と空気感が描かれ、少年の繊細な心の揺れが描写されている。読み進めているうちに、いつの間にか自分もTheoと同じ世界に入り、彼の孤独を、それでもなんとか生き続けている彼の毎日を、祈るような気持ちで見守り続けた。

    物語は多くの要素と詳細で構成されており、どの要素も重要な役割を果たす。一つ一つの要素が心に残るものがかりで、忘れるのが勿体無いから主なものだけ書こうとしても、書ききれない。

    Theoの長い独白が、記憶に基づいて過去を回想したものではなくて実は長く孤独な年月の間に、まるで返事を待っているかのような文体で亡き母宛てに書き続けていた手紙に基づいたものであったと知った時、名画が実は長い間手元になかった事実が判明した時、望み続けた母との対面をホテルの鏡越しに果たした時、Boris に divine prophecy と偶然は厳密に別けなきゃいけないものなのか?と問われた時・・ これらを読んだ時の瞬間はずっと記憶しておきたい。

    長く、切ない物語である。笑ってしまう文章もあるが、胸が締め付けられる事の方が遥かに多い。それでも最後、光明が差す。この僅かに光に私は救われた。

    この作品の素晴らしさを伝えられる器量が自分にない事が、悔しい。

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