ギルガメシュ叙事詩

著者 :
  • 岩波書店
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (414ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000027526

感想・レビュー・書評

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  •  楔形文字で残された最古の叙事詩、旧約聖書にも影響を与えたとみられ、よ人とは何か人生とは何かを問うている。
     シュメル語による伝承が紀元前2000年頃にアッカド語で12の粘土板として記載され、それが標準板とされている。本編11書板(第1から第11)に12番目の話が加えられている。
     物語は5部、①ギルガメシュとエンキドゥの出会い、②「香柏の森」への遠征、③イシュタルと「天牛」、④エンキドゥとの死別、⑤「不死の生命」探求の旅、で構成されている。
     本書には標準版のほか、古バビロニア版、中期バビロニア版、ヒッタイト語版、フリ語版が収められている。
     また機会をつくって巻末の解説を含めじっくり読んでみたい。

  • きちんとした詩であるかと思っていたらそうではなく、楔形文字を読めるところをつなぎ合わせたものであった。
    校本の形式で様々な異本があるがいずれも文字が欠けていたり少なかったりである。旧約聖書に似た部分がノアの箱舟の部分であった。

  • 5つの版で読み解くギルガメシュ叙事詩です。
    紀元前の書板は多くが欠損してしまいましたが、読み取れる部分の多さに驚かされます。
    古代の文学作品であるとは信じがたいほどに、話の筋や内容が濃く、現代の文学に引けを取りません。
    余談として、小麦が経済基盤のシュメールでは、既にパンとビールが存在しています。
    朝のパンと夜のビールにも、長い歴史を感じることができる一冊。

  • 世界最古の文学と言われている。言葉が書き残され後世に伝わるという歴史の重みに感激した。

  • 2010.12.20-
    ギルガメシュの伝説。戦争大好きで好色で迷惑な暴君の半生。
    ギルガメシュ叙事詩はすごい。めちゃくちゃ古い話なのに、ちっとも古びていない。けど「標準版 ギルガメシュ叙事詩」第十二の書板はいらないな。

    紀元前2000年頃(シュメル時代)のギルガメシュ諸伝承が、紀元前1800年頃(古バビロニア時代)にアッカド語で「ギルガメシュ叙事詩」として初めてまとめ上げられる。それが紀元前1530年頃から紀元前1000年頃にかけて西アジア各地に流布し、ヒッタイト語版やフリ語版がうまれた。
    「標準版 ギルガメシュ叙事詩」は、紀元前12世紀頃にメソポタミアで成立したと考えられている。

    ウトナピシュティム 原初の人間 アダムとノアのモデル

    「神々は頭を垂れ、涙ながらに座していた。彼らの唇は乾き、調理した食物にさえ触れなかった。」
    神々でさえ過ちを犯し、後悔する。そしてそこから学ぶ。彼らは過ちを無かったことにしない。

    四つの主題
    「「主題」はあらかじめ作品に客観的に備わっているわけではない。ある作品を読むことによって、読者の中に何らかのこだわりや特定の想いが想起される。そしてそれが言語化された時、その作品の「主題」が生まれるのである。」

    1 「死の問題」「死を前にした人間の生の問題」 悲観主義
    2 「友情」 マトゥーシュ フルラーニ フォン・ヴァイアー
    3 「太陽神(シャマシュ)信仰」 死後の世界を拒否 現世主義 英雄主義
    4 ギルガメシュの「精神の遍歴」 シュタム 独裁者 友情 遠征 友の死 放浪 生と死


    死に向かって生きているという矛盾くらい飲み込んで生きるものだ。
    死の前では、あらゆる対立が無意味だ。
    生の中では、あらゆる選択が幸いだ。


    ギルガメシュは賢く、力強く、戦いにおいて勇敢で、絶対的な権力を持っていた。だが、それはそれだけのことだ。ギルガメシュの偉大さはエンキドゥという友を得たこと、そしてその友情を(時には不完全にでも)守ったことにある。
    自然の子エンキドゥは、自然から離れ、自然を破壊し、命を忘れ、死を怖れるようになった。文明の洪水で自然を押し流す方法は覚えたが、相反する物を調和に導く詩人の魂は得られなかった。
    エンキドゥの死後、ギルガメシュは自然と文明の間で引き裂かれ、悲しみが心に住みつくようになった。
    「彼は身体において神の肉体を有していたが、その胸には悲嘆があったのだ。顔は遠い道のりを行く者のようであった。」


    死後の世界を拒否することが、現世主義と英雄主義にどう繋がるんだ?


    「定かならぬ生を生きるがゆえに人生の確かさを求め、限りある生を生きるがゆえに永遠の世界に憧れる人間の「労苦」」

    届かない星に手を伸ばすのは、決して報われない苦労である。どこかで読んだ。けれど、手を伸ばし続けたことが報いになる、ということもあるんじゃないかな。 自分にとって価値ある物とは何なのかを知っていれば、必ず得られる物はある。

  • 現存する世界最古の叙事詩みたいです.
    内容は,ギルガメッシュって名の主人公が冒険する話です.
    ところどころ原文が無く文章が虫食い状態に
    なってますが,それもまた味があって良いです.

    いつの時代も面白いと感じる物語の内容は変わらないみたいですね.

  • 物語としても興味深い、欠如した部分を想像が馳せる

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著者プロフィール

1948年生まれ. 専攻, 旧約聖書学・古代オリエント学. 現在, 立教大学文学部教授.
著作:『古代メソポタミアにおける死者供養の研究』(ドイツ語版, 1985),『創成神話の研究』(編著, リトン, 1996), 『ギルガメシュ叙事詩』(編訳, 1996), 『創世記』『エゼキエル書』『ルツ記』『コーヘレト書』旧約聖書Ⅰ, Ⅸ, ⅩⅢ(1997−98), 『歴史と時間』歴史を問う2(編著, 岩波書店, 2002), 『古典としての旧約聖書』(聖公会出版, 2008),『古代メソポタミアの神話と儀礼』(岩波書店, 2010), 『この世界の成り立ちについて──太古の文書を読む』(ぷねうま舎, 2014)『新装版 ギルガメシュ王の物語』(ぷねうま舎, 2019)ほか.

「2022年 『バビロニア創世叙事詩 エヌマ・エリシュ  』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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