カフカの迷宮―悪夢の方法 (作家の方法)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000035057

作品紹介・あらすじ

謎としての現在へ、語りの迷宮を紡ぐ新しいカフカ物語。

感想・レビュー・書評

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  • カフカの文体の「速度」という着眼点が興味深い。思考に筆が追いつかない。そのズレこそにカフカ独特の速度が出る。
    それから、これはよく言われていることなのかわからないけれど、「変身」がモノローグではなくあくまで三人称であることの意味の指摘が目から鱗だった。たしかに、モノローグにしたなら、単なる「悪夢」の報告にすぎない。悪夢が明晰な三人称で語られるからこその「変身」だ。
    カフカの小説の登場人物には「人格」がなく「関係」だけがあるという指摘もなるほどだ。だから、関係が途絶える時はすなわち死を意味する。そうした視点で「変身」を読んだことがなかったから新鮮だった。

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著者プロフィール

●後藤明生(ゴトウ・メイセイ)1932年4月4日、朝鮮咸鏡南道永興郡永興邑生まれ。敗戦後、旧制福岡県立朝倉中学校に転入。早稲田大学第二文学部露文学科卒。博報堂を経て平凡出版(現マガジンハウス)に勤務。67年、「人間の病気」で芥川賞候補。翌年、専業作家に。「内向の世代」と呼ばれる作家として注目を集め、代表作に73年発表の『挾み撃ち』が高く評価される。77年に『夢かたり』で平林たい子文学賞、81年に『吉野大夫』で谷崎潤一郎賞、90年に『首塚の上のアドバルーン』で芸術選奨文部大臣賞を受賞。89年、近畿大学文芸学部の設立にあたり教授に就任。93年より同学部長。99年8月2日、逝去。

「2020年 『四十歳のオブローモフ【イラストレイテッド版】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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