近代世界と民衆運動 (世界歴史叢書)

著者 :
  • 岩波書店
3.50
  • (0)
  • (1)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 7
感想 : 1
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (468ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000045568

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • やっと読み終わった。ものすごく濃い内容であった。
    一面では80年代、という時代がよく表れている観はあるけど(世界
    システム論の評価とか)、それにしたって、今読んでも非常に多様な
    論点に富む刺激的な内容だ。

    印象的だったのは、「従来のボナパルト登場論は、社会的条件と理念との
    間にみられるこの共鳴作用に注目してきた。しかし見落とすことのでき
    ない重要な問題は、共鳴作用の社会的形態、換言すれば共鳴作用を媒介
    する社会関係がいかなるものかという問題」である、という指摘。
    この指摘は、政治史が政治過程史にならないために傾聴すべき価値の
    ある文言だと思う。

    本来はウォーラーステインの世界システム論に触発された、世界資本主義
    体制の構造と展開の描き方を「政治・経済・社会」に配慮して描くことに
    力点が置かれている著作だと思う。
    もちろんそこから零れ落ちる問題はたくさんあって(サバルタン、女性
    でも子供でもそうだと思うが)、そのことにも注目しなければいけない
    けれど、だからといって、「政治・経済・社会」的観点の中にも大切なこと
    はたくさんあると思うのだけどな。
    まあ、僕が政治史なんていまやすたれたものに興味があるから、そう思う
    のかもしれませんが。

    そういう立場からすると、古典的(というほど古くもないか)名作として
    読むべき本だなあ、といまさらながら改めて感じました。

全1件中 1 - 1件を表示

柴田三千雄の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×