思考と意味の取扱いガイド

  • 岩波書店
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000054720

作品紹介・あらすじ

認知的視点から,人がどのように思考し,話し,世界を認識するかを解き明かしていこう.そこから否応なしに出てくるのは,思考と意味の大部分は私たちには意識できないという奇妙で落ち着かない結論だ.

感想・レビュー・書評

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  • 言語学者が思考とは?意味とは?に関してまとめてくれた本。プログラミング言語Cとか、そういう、いわゆるプログラミング言語に関して背後の哲学を併せて説明する本がとても面白いというのはプログラミングが好きな人は同意してくれると思うのですが、人間というオペレーティングシステムにおいて、言語と意識や意味がどのように働くのか?というのを、ポインターというのはどういうもので、というレベルで例示してくれるところがとんでもなく快感です。言語学メジャーの人ってすげえと昔から思ってるんですが、なんの役に立つのかやっと分かった。意味の無意識仮説。意味は論理からは与えられない。言語はその取手として機能する。ブーバキキとか、カプグラ症候群とか考えるとそういう気がする。そしてそれを言語を通して論理的に語るところがとても素敵です。なんであんまり本屋で平積みされないんだろう。b&bで発見できてよかった

  • わからなかったこと
    「みずたまり」という言葉の意味が私たちの意識の外部に普遍的にある。という日常的視点の考えでどんな問題が生じるのかがよくわからなかった。それはいかなるもので、どのように私たちに認識されるのかは不明だけれど、「外在的に言葉がある」ということ自体によって生じる問題は不明。認識可能な範囲外に問題を投げやってるから?

    感想
    この本では、認知的視点で「思考」と「意味」が何なのかを解き明かそうとする。認知的視点とは、私たちの頭の中でどのような働きが起きて、思考や意味が表れているのだろうか、という視点。認知の仕方に問題の焦点をあてるもの。
    他方日常的視点、つまり私たちの外に世界がありその実在を考えるというような視点は、著者がとる立場ではない。なので、この本ではあまり触れられない。

    ただし、注意が必要なのは、著者はどちらがいいという判断はしていない。視点の良し悪しは、目的に適しているかどうか次第という立場。

    著者によると、「意味」は無意識のうちに隠れている。「意味の無意識仮説」。無意識の状態にある種々の概念(意味)に、「意味」への手がかりとなる取手(記号?)があり、その取手を扱うのが「思考」。

    そして、思考にも意識的思考と無意識的思考があって、それらは合理的思考と直感的思考と呼ばれる。この本では、それらの思考過程の構造の仮説(なにせ無意識で働いているものだから認識不可)を、認知的相関物、特性タグや概念構造、空間構造などの言葉を使って説明している。

  • ジャケンドフ先生はかしこい。

  • 2020.2.29市立図書館(コロナ閉館で6月まで借りっ放しだったのに積読で終わった…いずれまた)

  • 岩波書店の紹介ページ(立ち読みあり):
    http://iwnm.jp/005472

  • 【書誌情報】
    原題:A User's Guide to Thought and Meaning (2012)
    著者:Ray Jackendoff(1945-)
    訳者:大堀 壽夫[おおほり・としお] 意味論、機能的類型論。
    訳者:貝森 有祐[かいもり・ゆうすけ] 認知言語学
    訳者:山泉 実[やまいずみ・みのる] 語用論、意味論。
    大堀 壽夫:前書き、第二部、第四部を担当  
    貝森 有祐:第一部を担当
    山泉 実:第三部を担当 
    イラスト:ニール・コーン
    価格:本体3,600円+税
    刊行日:2019/06/19
    ISBM:9784000054720
    版型:四六 並製 360ページ

    認知的視点から,人がどのように思考し,話し,世界を認識するかを解き明かしていこう.そこから否応なしに出てくるのは,思考と意味の大部分は私たちには意識できないという奇妙で落ち着かない結論だ.
    https://www.iwanami.co.jp/smp/book/b454627.html


    【目次】
    コロフォン [iv]
    献辞 [v]
    前書き [vii-]
    題辞 [xi]
    目次 [xiii-xvii]


    第一部 言語、言葉、意味 001
    1 思考と意味の取扱いガイドが必要なわけ 002
    2 言語とは何か 006
    3  英語に対するさまざまな視点 016
    4 日没、トラ、水たまりに対する視点 021
    5 語とは何か 026
    6 何が同じ語とされるのか 034
    7 「意味(する)」という語の用法 040
    8 「客観的」意味と「主観的」意味 050
    9 意味には何ができなくてはならないのか 055
    10 意味は視覚的イメージではありえない 068
    11 語の意味は型にはまらない(滑りやすい斜面は避けられない) 074
    12 意味のすべてが語の中に入っているわけではない 084
    13 意味、概念、思考 094
    14 言語は思考を決定するか 099


    第二部 意識と知覚 105
    15 思考するとはどういうことか 106
    16 〈意味の無意識仮説〉を検証するいくつかの現象 115
    17 意識と無意識 122
    18 「意識とは何か?」という問いは何を意味するのか 129
    19 意識的思考の三つの認知的相関物 138
    20 意識についてのいくつかの権威ある理論 144
    21 ものを見るとはどういうことか 151
    22 思考と意味の二つの要素 159
    23 物体をフォークとして見る 167
    24 空間知覚の他のモダリティ 172
    25 私たちはどうやって世界を「外にある」ものと見ているか 178
    26 経験におけるその他の「感触」  183


    第三部 指示と真理 195
    27 世界について語るために言語をどう使うのか 196
    28 会話における指示の食い違い 204
    29 私たちはどのような種類の事物を指示できるのか(認知形而上学 レッスン1) 209
    30 画像と思考のための指示参照ファイル 218
    31 続・認知形而上学 ――人間 227
    32 真理とは何か 234
    33 真理についての日常的視点の問題点 241
    34 文を真だと判断するとはどういうことか 246
    35 何かがおかしいと気づくこと 252


    第四部 理性と直観 257
    36 合理的に考えているとはどのようなことか 258
    37 合理的思考を私たちはどのくらい実際に行っているのか 270
    38 合理的思考はどのように役に立つか273
    39 合理的に見える思考の落とし穴279
    40 室内管弦楽 284
    41 技巧としての合理的思考 291
    42 科学と人文学についての思索 298
    43 複数の視点をもって生きることを身につける 305


    訳者後書き(二〇一九年五月 訳者一同) [311-315]
    参考文献と読書案内 [9-26]
    索引 [1-8]

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