絵本の力

  • 岩波書店
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感想 : 35
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  • Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000222594

感想・レビュー・書評

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  • 絵本は、けして子どもたちのためだけのものではなく、大人でも心動かされるものが多くある。絵本を通していろいろな世代が共有できる想いがある。幼い頃読んだ絵本を読み返すと新たな発見がある。絵が美しいもの、ことばのひびきが美しいもの、絵本の魅力を再発見し、絵本とのかかわりかたについて考えさせられた。

  • 今では当たり前の様々な絵本がどのように日本や世界で発展していったのかや、絵本の持つ力、可能性を知れてとても素敵な本でした。
    私が感銘を受けた絵本でも、子どもはただ読んだだけで何も感じていないことをずっと残念に思っていましたが、「言葉を詩のような響きとしてぱっと感じるだけでいい。一度子供の心の中に伝えておくと、人生の歩みのどこかで発見をする種蒔きになる。」という主旨が書かれていて、これからもたくさん絵本と関わらせてあげたいなと思いました。
    大人が楽しむ絵本の話もとても納得がいき、私もどんどん楽しんでいきたいと思います。
    国内外の絵本作家や絵描きさんに詳しい御三方の会話なので、当然の知識のようにたくさんの絵本が例に挙げられ、こちらはついて行けず、調べながら読みましたが、おかげでいい絵本をたくさん知れて、これから読んでみるのが楽しみです。

  • ノンフィクション作家は真実を極めるのが仕事だから仕方ないのかもしれないが、柳田さんの自己顕示欲が凄い。絵本好きの教養人とは、ガツガツ感が違うのだ。
    なので、夢を売る絵本出版社社長の松居さんと柳田さんの話は、反りが合わない。
    絵本の目的について、松居さんは「絵本とは、大人が購入するが、子どもに読んで聞かせるもの」と何度も言っているのに、柳田さんは「絵本は、大人の哲学書」と言っていて、1冊毎にウンチクを語っている。それが、松居さんには鼻につくんだろう。やんわり言い返している。
    しかし、それをものともせず、自分の感想を言い続けられる点が、柳田さんの強みなのかもしれない。ノンフィクション作家恐るべし!

    ちなみに、柳田邦男さんが例に挙げた絵本は約35冊、松居直さんは約22冊、河合隼雄さんが約17冊。この約74冊という数字、私には、知識の「押し売り」にも思える。大人にとって、絵本は、ほんとうに読むに値する本なのだろうか?どうもわからない。

    この本の河合さんの「絵本の中の音と歌」という文章は、河合隼雄著作集2期4巻「子どもといのち」にも納められている

  • 5年間ではあるが、図書にかかわる仕事をして、絵本もたくさん読んだつもり。
    それでも、読むタイミング、自分の人生の位置、その時の気持ちで、絵本から受ける影響は都度違っていて、毎回違う感情になる。
    子どもにはたくさん読んであげたいし、自分も気になる絵本は手に取りたい。
    まさしく「絵本の力」
    短く、優しく、分かりやすく、心にまっすぐ刺さってくる絵本。
    改めて絵本の存在に感謝。

  • 絵本が大好きな気持ちがあふれる。
    大切に、大切に読み進めたい一冊。

    河合隼雄さん
    「すべての人が自分の心の中に秘密の花園をもっている。その花園の中に何を植え、何を育てるのかというのは、その人の人生の大切な課題」
    「これだというものをもっている子は、ものがなくても悠々としている。」

    松居直さん
    「耳から聞いた言葉の世界と目で見た言葉の世界が子どもの中で一つになります。そこに絵本ができる。」
    「絵本の中に印刷されている挿絵は静止画ですが、子どもの中に見えている絵本の絵は、生き生きと動いている。」
    『自分で絵本の物語の世界をつくる体験をする。そういう体験が実は絵本の本質に触れることです。』

    絵本体験
    子どもが自分の中に物語の世界をつくる。絵本はその手がかりであって、子どもが自分でつくる世界が本当の絵本であり、絵本体験。
    いきいきと動いている。

    『絵本という空間は、人間の生活の余白みたいなもの』

    柳田邦男さん
    「ほんとうに魂をゆさぶられるような時間と空間を得られる媒体なんだろうかというと、最高のものは絵本かもしれない。」
    「絵本もまたいのちと響き合う表現手段」
    「絵本は言語を越えた、あるいは国境を越えた、音楽に近いようなコミュニケーション手段」

    ー 日本の絵本作り ー
    12世紀から。
    絵で物語を表現するというのは、
    「鳥獣戯画」

  • 三葛館一般 019.5||KA

    タイトルのとおり絵本が持つ力について、臨床心理学者の河合隼雄氏、児童文学家の松居直氏、ノンフィクション作家の柳田邦男氏がセミナーで講演、討論した内容を収めた本書。
    著者それぞれの経験、視点を異にした絵本についての考えや想いが綴られています。改めて絵本のすばらしさについて考えさせられます。具体的な作品名とともにその魅力や読み方についてもたくさん紹介されていますので、懐かしい絵本や興味のある絵本に出会い、すぐに読みたくなるでしょう。
                                  (もも)

    和医大図書館ではココ → http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=33882

  • 貸出状況はこちらから確認してください↓
    https://libopac.kamakura-u.ac.jp/webopac/BB00194303

  • 2022.10.3市立図書館
    このところマイブームの松居直さん研究の一環で借りた。
    この本は、小樽にある「絵本・児童文学研究センター」が主催して2000年11月12日におこなわれたシンポジウムを元にして作られており、三人それぞれの講演と、それに続く三人による討議「絵本の力」が収録されている。

    河合隼雄さんの絵本の中の音と歌の話は興味深かった。紹介されている絵本をあらためて読み直してみたい。
    柳田邦男さんは今にして思えば絵本の読者層を大きく広げたパイオニアだと言えそう。この対談から20年余、いまや子どもが必ずしもターゲットではない「絵本」の裾野はずいぶんひろがっている(良し悪しはあるけど)。松居さんははっきりと言葉にはしていないけれど、この時点でそのあたりのこと(子どもに読んであげるものとは別の需要にこたえる絵本の存在)をやや危惧している雰囲気は感じられた。

    松居直さんの講演は、ご自身が絵本をつくる側の立場にいたるまでのバックグラウンドとなる体験を語っている。家に「コドモノクニ」が揃っていて望むだけ読み聞かせてもらい、父親について美術館に行ったり、兄の暗唱する古典に耳を傾けたりと、文化資本にも恵まれているが、なにより京都の子ども時代から接してきた顔ぶれが錚々たるもので改めて驚いた。学生時代に白川静にであっているのは別のところで語っていたが、叔父に須田国太郎がいて、中学の歴史教師井上頼寿のフィールドワークに学びそこから柳田国男の雑誌に投稿してやりとりしている。幅広い教養と感性にめぐまれ、どの専門の道にすすんでもなんらかのことをなしとげたであろうこの人物が、いつのまにか絵本をつくるという場所にいきついて全力でその世界の発展に尽くしてきたのは、控えめに言っても日本にとってなんと運のよかったことか。石井桃子など他にも立役者はいるにはいるが、松居直抜きではいまのゆたかでおもしろい日本の絵本界は存在し得ないのだから。

    絵と同等かそれ以上に言葉を大切にした松居直ののこした作品としては、安野光雅、大岡信、谷川俊太郎とつくった「にほんご」、そして、娘で児童文学者となった小風さち(リズミカルでいきいきした文体の持ち主)の存在が重要だと思った。(小風さち自身は、父親と絵本などの仕事について話し合ったことはぜんぜんないとはいっているが)

  • 絵本の読み方なんて、考えたこともなかった。絵本の持つ力も。
    子どものものと思わず、読んでいこう。
    声に出して。

  • おすすめの絵本が紹介されていたり、
    絵本の感じ方など専門家の視点で面白くまとめられている。

    私の好きな河合隼雄さんも登場するので、とても面白かった!!

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