江戸にラクダがやって来た──日本人と異国・自国の形象

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (374ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000223126

作品紹介・あらすじ

文政四年七月、二頭のヒトコブラクダがオランダ船で長崎に到着。以後十年余り見世物として全国各地を巡業、一目見たいと人びとは熱狂した。その様子は多くの随筆記録・絵画に描かれ、落語・歌舞伎のあてこみ、民間伝承も生まれた。著者は文献・資料を丹念に読み解きながら、ラクダを通した異国形象認識について解き明かす。

感想・レビュー・書評

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  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/784534

  • 女子栄養大学図書館OPAC▼ https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000060058

  • 江戸時代後期に、オランダ船に積まれた2頭のフタコブラクダが長崎にやって来た。




    このラクダが話題を呼び、江戸ではロングラン興行になり、大いに盛り上がった。




    インターネットのない時代に未知の生物と遭遇するのだから、当時の人々のラクダ熱は相当なものがあった。





    ラクダのような「舶来の珍獣」には、現代では思いもつかないイメージがあった。




    それは神仏のように「ご利益」があるとされて、ラクダは西からやって来たありがたい「霊獣」「聖獣」だった。




    ほうそう、はしかよけ、悪病除けの効能があると最もよく言われたそうだ。




    見世物小屋では、ラクダの毛を包んだお守りが売られた。




    ラクダの毛とご利益とは恐れ入った。




    江南亭唐立作、歌川国安画の合巻(ごうかん、合冊形式の絵入り小説)「和合駱駝(らくだ)之世界」の挿絵の一コマが載っている。




    そこにはラクダから逃げ出す疫病神が描かれている。




    ラクダにすがりたい当時の人々の気持ちも分からなくはないが、ラクダの尿が霊薬になるという話にはさすがについていけない。




    「鰯の頭も信心から」と言うが、「駱駝の尿も信心から」はハードルが高いなあ。




    当時の人々がラクダに対してどのように思っていたのかを垣間見ることができ、ラクダを通して異文化に対する、当時の人々がどのように思ったのか知ることができて興味深い。

  • ふむ

  • 12頁:「咳嗽胸腹杓攣」は、胸や腹がさしこむような痛みを意味する「癪」〔しゃく〕を「杓」の当て字で記したと思われ、繰り返し咳き込んで胸腹にも痛みが走る状態といったところだろうか。
    ★「穿ちすぎ」だと、とわたしは思う。「杓攣」は「拘攣」であろう。

  • 東2法経図・6F開架:779A/Ka98e//K

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著者プロフィール

横浜国立大学教育人間科学部教授(文化史、日本芸能文化史)。『江戸の大衆芸能─歌舞伎・見世物・落語』(青幻舎、二〇〇八年)、『見世物探偵が行く』(晶文社、二〇〇三年)、『江戸の見世物』(岩波新書、二〇〇〇年)

「2015年 『日本人は日本をどうみてきたか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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