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- Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000225632
感想・レビュー・書評
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前回の著作に比べると急いで出した気がする。彼にしては珍しく推測や憶測というような発言も目立つ。これは前回の著作でももしかしたらあったかもしれないが、前回の著作は全体を突き通す大きな軸があり、且つ徹底的なフィールドワークに裏打ちされた論理性があった。今回はそれが少し物足りない。おそらく、今回の著作は、逸郎さん自体が感情的にもかなり揺れたのだろう。帝政民主主義国家ロシアで登場する日常に課題を抱えるロシア市民とは明らかに違う生きるか死ぬかの労働者は彼には大きなインパクトを与えたと思う。それぞれの労働者のケースをとりあげているが、背景説明や理解として各国の最低限の情報は必要だ。これは現地で調査出来ないとなれば二次資料で論文や著作を読む必要が出てくる。一次資料に拘る彼だけに、日本人の著作や論文を読む事は嫌だったのであろうが、労働者という枠で論じる以上それは不可欠だろう。ただ、いずれにしてももう少し全体を一本の線で通す作業が必要だった。
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