- Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000237451
作品紹介・あらすじ
「イエスは黒人なのだ! ブラックパワーは福音だ」黒人神学の泰斗、ジェイムズ・H・コーンに学ぶため、二七歳の筆者はNYにあるユニオン神学校の門を叩いた。教室にさざめいたハレルヤ。ブラック・ライヴズ・マターという仲間たちの叫び。奴隷制以来、四〇〇年に及ぶ苦難の歴史に応答することはできるのか? 魂をゆさぶる言葉の旅。
感想・レビュー・書評
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著者はNYのユニオン神学校で、ジェイムズ・H・コーンのもと黒人神学を学んだ神学者。黒人神学ってどんなものなのか学べるし、留学記としても興味深く読める。この本を通して著者が読者に分け与えるのは、黒人差別の歴史やBLM運動のあらましといった知識だけでなく、心に降り積もった静かだけど熱い思い。その沁みわたるような語り口から、自分もより善く生きたいという気持ちになった。いずれ発表されるであろう沖縄・伊江島の土地闘争についての本も是非読みたい。
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27歳でニューヨークの「ユニオン神学校」に留学し、「黒人解放の神学」の提唱者ジェイムズ・H・コーンに師事した著者が、コーンから学んだことを振り返るエッセイ集である。
私は黒人神学どころか神学そのものに無知だが、それでも本書には感動した。
留学記としても、風変わりな青春文学としても楽しめる。が、それだけではない。
これは、「ブラック・ライヴズ・マター」運動の盛り上がりのなか、その重要拠点となったユニオン神学校に身を置いた著者が書いた、ヴィヴィッドな“現場報告”でもあるのだ。
「ブラック・ライヴズ・マター」に影響を与えた神学者であったジェイムズ・H・コーンの思い出を通して、あの運動が持つ重い意味も浮き彫りにされていく。
著者は沖縄の伊江島で、米軍基地を巡る土地闘争の中で「沖縄のガンジー」と呼ばれた阿波根昌鴻に可愛がられて育ったという(阿波根昌鴻が設立した「わびあいの里」で父親が働くため、1989年に家族で伊江島に移住)。
日本人の著者と「ブラック・ライヴズ・マター」を結ぶのは、伊江島で語り継がれた反米闘争の記憶なのだ。
そして、幼き日の著者が「おじい」と呼んで慕ったという阿波根昌鴻と、師であるジェイムズ・H・コーンの姿が、おのずとオーバーラップしていく。
著者の文章が素晴らしい。
一文一文が詩のように清冽で、心地よいリズムを持ち、メモしておきたいようなカッコいいフレーズも随所にある。
黒人神学について書かれた書ではあるが、日本人が「ブラック・ライヴズ・マター」を理解するための重要テキストになるだろう。 -
黒人神学者の元で学んだ日々の回顧録。
これほど純度を保ってまっすぐ届く言葉には滅多に出会えない。 -
神学に、あえて「黒人」と冠せなければならない不条理を感じながら読んだ。キング牧師、マルコムX、そして僕には初めての名前だったが、ジェイムズ・H・コーン。彼らの名前を辿って行きたい
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文章の熱にアジテートされる。だが作者が知的に誠実なため、ナルシスティックな左翼本、ポリコレ本にはならない。マイノリティに憑依してルサンチマンに溺れたいのに溺れることができない葛藤として読んだ。いま研究しているという沖縄についても結局は同じ越えられない矛盾にぶつかるのではないかと懸念するが、その矛盾に苦しむこと自体が彼の生きる目的なのかもしれないとも思う。
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自分のルーツを知り、それが歴史的になにをして、なにをされたのか、一度立ち止まり考えて、自分が今どこに立っているのかを認識しないといけないと思った。
第5章の「アリマタヤのヨセフ」で著者からヒントをいただいたような気がする。 -
あまり馴染みのない神学の話。
ちょっと文章に稚拙なところもあるけど、アツい想いは伝わってくる。
アメリカ社会に対する思いは、いろいろあるのだけれど、考えさせられるものがある。 -
女子栄養大学図書館OPAC▼ https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000058098