- Amazon.co.jp ・本 (121ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000241618
作品紹介・あらすじ
「私を責めるもう一人の私がいるんです」突然届いた、見知らぬ女子学生からの手紙。現代日本をおおう、心の闇をめぐる物語がはじまる。
感想・レビュー・書評
-
混沌とした精神世界の中で、私と彼女とを区別するものがなくなったと自覚した時の絶望感に、心がやられそうになった。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
これはわたしの物語だ、っていうの、言葉としては時折見掛けるけれど
ああ、って思った。こういう感じのことを言うのかもしれない。感覚として。
なんとなく独特っぽいけれど、全然遠くなくて
物語としてはあまり具体的じゃないけれど、それでいて輪郭がすごくはっきり隔絶していて
わからないことを解明していく作業ってすきだし、せずにはいられないような性質だから
こういうの、すき。 -
ナイトメアを持つ彼女。現代で、現実で生きる「女」という殻の「自分」と「自分」の中の「自分」矛盾を感じながらも溶け込まなければいけないの?という葛藤。人でありながら女でなくてはという見えないプレッシャー。
ナイトメアは最初のナイトメアでした。 ナイトメアに共感し、また自分もナイトメアなのではないか?(彼女より私は真面目で頑張り屋ではないけれど) -
ナイトメアを通して「女性のありかたとは?」、「自分とはなにか?」、「現実とどう折り合っていくか?」を考えさせられる。
-
文芸作品でもあるのかもしれません。
真面目に生きているのに悩んでいる人は多い。無理をしているから、周囲には理解されない。どう折り合いをつけるのか。人は見かけだけではわかりません。 -
「この人なら自分のことが分かってもらえる」と作家に「心の迷路の物語」をするナイトメアと呼ばれている女性が主人公、が、だんだん作家自身と渾然一体になっているような物語。
「ナイトメア」は声に悩まされている。罵りの言葉に。
「ナイトメア」は母に愛されていない。兄を溺愛する母に。
「ナイトメア」は女であることを思い知らされる。感受性が強いから。
母の誇りの兄(男)のようになりたくて、能力を発揮し努力をして手に入れたものを母は喜ばない。母に認められないことの悲しみと怒りが噴き出してくる「ナイトメア」罵りの声が聴こえるのは「ナイトメア」の心の声。
女は女の子を産むと自分の雛形コピーと思っていないか、という深い洞察。知らず知らず同質を強要しているかもしれない。
それを知ってしまった母娘は仲良くはなれない。
というところにわたしは思い当たるのでものもあるので、暗澹たる気持ちになった一書。 -
母と同じ道を歩みたくないけど、母を越えることはこわいっていう。
そういえば、女性であるということを理由に虐げられた経験がない気がする。
女子校育ちで、まだ社会に出てないからかな。 -
セラピーというものは唐突に始まり唐突に終わる(逃げられる)ものだから幕切れのあっけなさは頷けるが、小説としては卑怯。
しかし痛くて痛くて苦しかった。
フロイトーラカンのラインが残したものは、この不安憂鬱時代には適さないものも多いが、
1.心的事実の重視。
2.人は物語に生きる。
3.解釈の重要性。
4.症状は誤った対応行動。
などの知見は依然有効。
のようなことを考えた。
oquba -
いろんな意味で、これは実話だ