- Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000241717
感想・レビュー・書評
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フェミニズムの正しさゆえの空しさが手を汚さないやつにわかるか
久々湊盈子【くくみなと・えいこ】
田中美津、米津知子、加納実紀代ら「フェミニズムの第一世代」12人に、その生をインタビューした映画「何を怖れる」(松井久子監督)を、貴重な記録映像として見た。さらに、詳しく活字化された同タイトルの本も読み応えがあった。
私自身はフェミニストとは遠いところにいる。というのも、日本の「ウーマン・リブ運動」の渦中にも、抑圧や、支配―被支配関係があったと聞いていたからだ。10代でシングルマザーとなり、ダンサーを経て初めて「解放」されたという滝石典子が、映画でも本でもそれを証言している。
けれども、労働観として、樋口恵子の言に教わるところが多かった。
樋口は日本国憲法第27条「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ」が好きだと語る。この「国民」には当然女性も含まれているはずだが、介護労働に関しては、多数の自治体が「介護嫁表彰」をするなど「嫁」だけに押し付けた時期があった。それを問題視し、樋口は「高齢社会をよくする女性の会」を発足させたという。先見の明と、実行力に感嘆するばかりだ。
掲出歌の作者は、映画のサポーターであり、女性短歌史年表を作成したこともある歌人。40代での作である。余談ながら、サポーター一覧には安倍首相の妻「安倍昭恵」の名前もあった。
インタビューに答えた1人である上野千鶴子と、松井監督とのトークも企画された「何を怖れる」北海道上映会は、4月18日、札幌プラザ2・5にて。
(2015年4月12日掲載)詳細をみるコメント0件をすべて表示