- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000244756
作品紹介・あらすじ
仕事の内容や就労の形態が多様化し、変容する中でわれわれはどこに労働の意味を見出そうとしているのか。高齢化と人口減少に直面する日本の労働環境の変化は、ライフコースにいかなる影響を及ぼすのか。労働の現況を改善するには、どんな考えが重要なのか。六名の研究者が、現地調査と統計データに基づき、成熟社会における労働のあり方を考える。
感想・レビュー・書評
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東2法経図・6F開架:366.04A/I56h//K
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『〈働く〉は、これから――成熟社会の労働を考える』猪木武徳[編]
ジャンル:書籍 > 単行本 > 社会
刊行日:2014/02/25
ISBN :9784000244756
Cコード:0036
体裁:四六・並製・226頁
定価:本体1,900円+税
在庫:在庫あり
私たちの「働く」は,いま大きく揺れ動いている.これからの成熟社会において,どのような働き方が望ましいのだろうか.内外の調査などから労働の現状を分析し,働くことの意味の変化やそこに見られる可能性,改革の方向について多面的に考察していく.編者を含め,杉村芳美,清家篤,岩井八郎,藤村博之,宇野重規の六氏が執筆.
<https://www.iwanami.co.jp/book/?book_no=262659>
【目次】
まえがき(二〇一四年正月 執筆者を代表して 猪木武徳) [v-viii]
目次 [ix-xii]
第一章 成熟社会で〈働く〉こと 001
1 働く意味を求める時代 001
働く意味をめぐる経験/働く意味を求める時代/働く意識にとっての「成熟」
2 005
敬業精神と好きな仕事――上海/良い医師とおカネ――クロアチア/新しい公と新しい生き方――隠岐・海士町〔あまちょう〕/宝をつくる仕事――多気町/祈りとしての仕事――伊勢神宮
3 020
コーリングとしての仕事/仕事の尊厳
4 029
働くことの「つながり」/成熟社会の「働く」をかたちづくるもの
注 035
引用・参考文献 037
第二章 地に足の着いた雇用改革を 039
1 働きかたの質を高める 039
2 失業を経ない採用制度 045
3 長期雇用制度 051
4 年功賃金と生涯現役 057
5 格差是正 064
6 公智、実学、奴雁 072
注 075
引用・参考文献 077
第三章 多様化するライフコースとその課題 081
1 縮小する戦後日本型システム 081
2 女性の就業パターンの変容と家族形成 083
「団塊の世代」のライフコース/「団塊ジュニア」のライフコース/就業パターンと家族形成
3 若年男性のライフコース 090
二〇歳代のライフコースの不安定化――無職、非正規雇用、転職の分析/学校卒業後のライフコース
4 高齢者の社会的地位と同居の意味の変化 097
高齢者の社会的地位の変化/子ども世代の不安定化と同居の変容
5 「脱標準」の活力 101
6 一つの提案――「ライフコース基金」の構想 105
付記 111
注 111
引用・参考文献 112
第四章 日本人は、なぜ六五歳を超えても就労意欲が高いのか? 115
1 働きたい日本の高齢者たち 115
急速な高齢化が日本の特徴/高齢期になっても就労意欲が衰えないのはなぜか?
2 使用する資料について 117
「七〇歳まで働ける企業」推進プロジェクト/福岡県七〇歳現役応援センター/六〇歳代前半の雇用と就労についての資料
3 六〇歳代前半の就労状況 119
高齢者雇用安定法改正と雇用状況/企業が六〇歳以上の従業員に何を期待しているのか/企業が高齢者の中途採用者に期待すること/彼らはその期待に応えているか/六〇歳代前半層はなぜ働くのか?/彼らは何を求めているのか?/この節のまとめ
4 六〇歳代後半以降の就労状況 132
七〇歳以上まで働ける企業の割合は一八・二%/二〇〇八年時点でも約四分の一の企業は六〇歳代後半層を雇用/「七〇歳まで働ける企業」拡大への提言/六〇歳代前半で働いている人は六〇歳代後半も就労を希望/五〇歳代の能力開発が問題/五〇歳からの能力開発のために/行政の取り組み――福岡県七〇歳現役応援センター
5 生涯現役社会の実現に向けて 144
少子化の責任者は誰か?/経営者の決断が欠かせない
注 146
引用・参考文献 148
第五章 〈地域〉において〈働く〉こと 151
1 地域の結びつきと〈働く〉こと 151
2 抽象化された近代の労働観 155
3 「稼ぎ」・「仕事」・「暮らし」 159
4 存在論的安心と〈地域〉 163
5 地域における〈コモン〉の再発見 167
6 労働の新たな可能性 171
注 175
引用・参考文献 175
第六章 中間的な組織での自由な労働 177
1 個人と国家のあいだ 177
2 奴隷労働と雇用労働 180
3 援け合う技術を学ぶ装置 185
4 結社の実例 189
5 日本の小規模な「結社」の例 190
6 結社は国の財政赤字を削減する 193
7 日本の共済組合 195
労働金庫の場合/その活動の現況/は十分な役割を果たしているか
8 労働組合の本来の役割 201
労働組合の条件/労働組合の人材育成への参与
9 連携(associate)する労働を求めて――結びにかえて 204
注 207
参考文献 207
あとがき(成熟社会の労働哲学研究会 佐藤友美子) [209-212]
執筆者紹介 [214] -
「学者は社会の奴雁であるべき」が福澤先生の教えであり、塾長もそれを意識しているようではある。が、学者先生たちが労働問題を語ると机上空論というか、よく言えばマクロベースの話になってしまって、地に足が着いていないという印象を受ける。
全体的なテーマ・トーンとしては人口構成と都市と地方といった地域性を論点としているようではあるが、それ以前の労使関係の改善やそれに伴う法整備の方が労働問題における優先度は高く、なんか公家が歌を詠んでるような印象すら受ける。
複数の先生による空虚な論考が展開される中、もう自己実現とか社会とのつながりにおいて、過度に労働に依存する社会を変えなければならないという宇野氏の提言だけはよかった。生活できるだけの賃金がもらえて、あとは各々が好きに生きる事ができる脱労働社会が成熟社会だろうと思う。他者からの評価も達成感もいらない。そんな事のために労働なんかしたくないという人間は大勢いる。 -
逗子図書館にアリ