- Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000258081
作品紹介・あらすじ
「昔に比べて、私も成長したもんだ」なんて、単なるうぬぼれ以外の何物でもない-。実は私たちは、きわめて不確かで身勝手な「記憶」というものに振り回されながら生きている。記憶研究30年の著者が、自らのエピソードと最新の知見との間を行き来しながら贈る、この"曲者"とうまくつきあい、よりよく生きるためのヒント。
感想・レビュー・書評
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日本大学大学院総合社会情報研究科「認知心理学特講」2015年度基本教材指定図書
読んで面白いけど、基本的にエッセイなので、これでレポート書くのは難しいなぁ。 -
カテゴリ:教員著作物
心理学科:高橋雅延教授の著作物 -
記憶について専門的な知識のある著者が随筆的に記憶について書いたもの。記憶が本当に今の自分が思っているようなものであるかわからない、その意味はその後の事象で様々な意味づけが行われ、変わってくることや、記憶がねつ造される事例があるなど、小説や自身の研究から引っ張り出し、説得力のある文章になっている。しかし、私自身が知りたいことは書かれていなかった。再読の必要なし。最後はグッと来た。
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あなたは昨日の朝に何を食べたか覚えていますか?では一昨日の朝は?一週間前、一か月前の朝食はどうでしょう?
人は確かに自分が経験したことでも、永遠にその出来事を覚えているとは限らない。そうかと思えば、一か月前の朝食は思い出せなくても、何年も前のことなのにある特定の日の朝食を覚えていることもある。たとえば試験の日の朝に緊張しながら食べた朝食、あるいは旅行先で食べた豪華な朝食。もしかしたら、そのような特別なことが何もなかったはずなのにその日の朝食を今でも覚えていることもあるかもしれない。
このように人の記憶はとても不思議なものである。忘れたくないのに忘れてしまうこともあれば、忘れてしまいたいのにいつまでたっても消えない記憶。あるいは、自分ではそのときのことをよく覚えているはずだったのに、実は自分の思い違いだったということも少なくない。そして人はそのような自分の記憶に悩まされる。覚えていなければならなかったことなのに忘れてミスをしてしまう、辛い思い出がいつまでも鮮明なまま思い出され苦しむことになる、頑張って覚えようとするけれどもなかなか覚えられない…
本書では、記憶研究30年の著者が、日常生活の中でこのような記憶とどのようにつきあえばいいかをエッセイ風に紹介している。記憶とのつきあいかたを考えるためには、人の記憶がどういったものかを知らなければならない。記憶についての研究は膨大にあるが、本書では専門書や論文とは異なり、著書自身のエピソードを交えながらとてもわかりやすく紹介されている。そのエピソードも「そうそう、そういうことなら自分にもある!」と共感できるものばかり。「ならば、なぜそのようなことが起きるのだろう?」という興味、そしてそれが明かされる楽しさを感じながら読み進めることができる。
その人の人生はその人の記憶で構成されている。今の自分を作っているのは、自身がこれまでに経験してきたことであるが、「自分が経験したこと」だと言えるのは、そのことを自分が覚えているからに他ならない。そのような自分の記憶と、どのようにすればうまくつきあえるのか。自分の記憶に振り回されていると感じている人、記憶の不思議さに興味を持っている人、これから記憶の勉強をしようとしている人はもちろん、日々記憶とつきあいながら生きているすべての人のための一冊。(図書館サポートグループ・メンバー)
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