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- Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000260046
感想・レビュー・書評
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ニーチェおよびハイデガーの哲学とナチズムとの関係や、ポストモダニズムの政治思想などを中心に、二十世紀の政治思想を解説している本です。
著者はまず、ニーチェやハイデガーによって西洋思想全体に対する批判がなされたことを説明します。とりわけ彼らの思想とナチズムとの関係に焦点をあてて、前期ハイデガーの思想が「決断主義」的に理解される余地をのこしていたことに対する批判的な考察がなされています。
さらに後期のハイデガーにかんしては、なおも「現前の形而上学」への郷愁を断ち切ることができていないというデリダの批判をとりあげ、またドゥルーズが『差異と反復』で前個体的な領域を解き放ったことを概観しています。
最後に、ポストモダニズム的な政治思想の例として、アレント、ローティ、コノリーの三人がとりあげられます。アレントにかんしては、ポストモダニズムの立場から彼女の思想を解釈するさまざまな試みがなされていることに触れながらも、著者自身はそうした解釈に対してやや距離を置いています。ローティのポストモダニズムについては、他者との連帯という問題意識が十分でないという指摘がなされており、その問題点を掘り下げた思想家としてウィリアム・コノリーが紹介されています。
ポストモダニズムの政治思想が中心で、タイトルになっている「二十世紀の政治思想」を全般的にとりあつかったものではありませんが、その点について留意していれば、有益な内容なのではないかと思います。ただ、もうすこしあつかう対象を絞り込んでほしかったという気もします。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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