戦争とフォト・ジャーナリズム (岩波フォト・ドキュメンタリー世界の戦場から 別)
- 岩波書店 (2004年8月4日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (77ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000269728
作品紹介・あらすじ
フォト・ジャーナリストはなぜ戦争に赴き、一枚の写真によって何を伝えるのか。戦争報道はなぜ被害者の側に立たなければならないのか。
感想・レビュー・書評
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戦場写真はいつも自分に衝撃を与える。
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フォトジャーナリズムとは何か、キャパ、沢田教一や自身の経験をもとに解説。戦場におけるジャーナリストの重要性が理解できた。
有名な「ナパーム弾の少女」(ニック・ウト撮影)の写真は、「ここで待っていたら面白い場面が撮影できる」と米兵にあらかじめ言われて待機していたジャーナリストが撮ったという事実に戦慄をおぼえる。
「ニックの写真はベトナム反戦運動に大きな役割を果たした。しかしどのような状況の中撮影されたのかは、多くの問題を問いかけている。」
エディ・アダムスのベトナムで兵士が射殺される瞬間を撮った写真も、ジャーナリストに対するサービスで行われたのであり、「カメラが回っていなかったら、このとき男が射殺されなかったのは確かだ。」
ジャーナリストのダークサイドにも踏み込んだ内容には、ショックを受けた。
写真の読み方についても考えさせられる。
もう少し写真が多ければ言うことなしの本だった。
中高生にも読んでほしいな。 -
シリーズの別冊、最終巻。
広河隆一の覚悟。戦争報道は被害者の立場に立たなければならない。ジャーナリストがいなくなってから権力は狂暴になる、だからジャーナリストは現場にいなければならない。つまり著者は、ジャーナリストに「報道」以上の役割を与える。第4の権力は市民から付託されたもので、その権力を生かすことを考えろ、とつまり言っているのである。
カメラマンとジャーナリスト。フォト・ジャーナリストは写真家ではなく、ジャーナリストだと言い切る。著者の覚悟はすさまじい、と思う。