空爆論 メディアと戦争 (クリティーク社会学)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000271776

作品紹介・あらすじ

「視ること」は「殺すこと」である――支配し、侵略し、殺害する「上空からの眼差し」としての空爆は、第一次世界大戦や日本空爆、朝鮮空爆などを経て、いかに変容し、遠隔爆撃ドローンや現在の戦争における空爆の眼差しへと至ったのか。ウクライナ侵攻まで一貫してつながる「メディア技術としての戦争」を問い直す。

感想・レビュー・書評

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  • 1945.3.10の東京大空襲はアメリカの用意周到な作戦であり.B29とナパーム弾による無差別攻撃と認識されているがF13写真偵察機で東京の写真を撮り、攻撃目標を事前に決めて、効率的な作戦を立てていたのだ.この成果を朝鮮戦争での平壌(1952.7.11, 8.29)、ベトナム戦争で活用して来たが、過疎地域での空爆の効率性、さらには米兵の消耗で挫折したアメリカは、直接兵士を派遣しない形のドローン作戦を主体とした行動を取ってきている.それを後押ししたのが2001年の貿易センタービル爆破だ.空爆に関して多くの資料をベースにその歴史を克明に描写しているが、非常に重要な多くの視点をあぶり出しているのも凄いと感じた.ロシアのウクライナ侵攻に関して、ロシアのドローンが全て外国製品で構成されていることを指摘し、プーチンの思想の至らなさを喝破しているのも良い.最後に「20世紀のメディアの発達を単に情報伝達機能の問題としてだけ考えるのではなく、私たちの身体の日常的なふるまいから巨大な暴力装置としての国家の作動までを貫く(媒体)の諸技術として把握する必要がある」と述べているが、大いに賛同するものだ.

  • 九州産業大学図書館 蔵書検索(OPAC)へ↓
    https://leaf.kyusan-u.ac.jp/opac/volume/1404657

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著者プロフィール

吉見 俊哉(よしみ・しゅんや):1957年生まれ。東京大学大学院情報学環教授。同大学副学長、大学総合教育研究センター長などを歴任。社会学、都市論、メディア論などを主な専門としつつ、日本におけるカルチュラル・スタディーズの発展で中心的な役割を果たす。著書に『都市のドラマトゥルギー』(河出文庫)、『大学とは何か』(岩波新書)、『知的創造の条件』(筑摩選書)、『五輪と戦後』(河出書房新社)、『東京裏返し』(集英社新書)、『東京復興ならず』(中公新書)ほか多数。

「2023年 『敗者としての東京』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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