決着! 恐竜絶滅論争 (岩波科学ライブラリー)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (102ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000295864

作品紹介・あらすじ

恐竜はなぜ絶滅したのか。専門家にとってはもはや決着済みといえる絶滅の原因をめぐって、いまだに新説が出されてはマスコミを賑わす。これを憂えた著者らは、有名な科学雑誌に論争の余地なしとする決定的な論文を投稿。世界をアッと言わせた。なぜ決着済みといえるのか。異説のどこが間違いなのか。とことん解説する。

感想・レビュー・書評

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  • 誰もが一度は聞いたことがある
    「恐竜が絶滅したのは隕石の衝突が原因」この説が世間に定着するまでの歴史、そして著者の想いが凝縮された一冊です。
    めっちゃおもしろかった!
    地質学や古生物学、地球物理学なんかにも興味が湧きます。
    子どもの頃に読んだ図鑑か何かに
    「恐竜が滅んだのは隕石が理由!?」
    みたいなページがあったのをよく覚えています。
    時代は流れ、それは一説によるとというレベルではなく他の仮説をすべて否定し自説がいかに正しいか、科学的根拠を持って語られるぐらいになったという事実は感慨深いものがあります。

    まさかメディアの弊害によって
    仮説と仮説そして反論がぶつかり合う純粋な科学論争が歪んでいってしまっていたとは…

  • 誰もが一度は聞いたことがある 「恐竜が絶滅したのは隕石の衝突が原因」この説が世間に定着するまでの歴史、そして著者の想いが凝縮された一冊です。 地質学や古生物学、地球物理学なんかにも興味が湧きます。 子どもの頃に読んだ図鑑か何かに 「恐竜が滅んだのは隕石が理由!?」 みたいなページがあったのをよく覚えています。 時代は流れ、それは一説によるとというレベルではなく他の仮説をすべて否定し自説がいかに正しいか、科学的根拠を持って語られるぐらいになったという事実は感慨深いものがあります。

  • 2010年に41人もの学者らが共同で「サイエンス」誌に発表した、恐竜絶滅の原因は小惑星衝突が原因であることを改めて論証した論文についての本。学界ではほぼほぼ衝突説で決着していたのだが、それへの反論ばかりがマスコミに取り上げられる状況を危惧しての「まとめ論文」発表であった。

    小惑星衝突説
     1980年にノーベル物理学賞受賞者のルイス・アルヴァレズと、その息子で地質学者のウォルター・アルヴァレズが提唱。白亜紀−第三紀境界(K/Pg境界)でイリジウムの濃度が高いことを根拠とした。1991年にユカタン半島北端でチチュルブ・クレーターが発見されたことが決定的な証拠となった。

    大量絶滅
     ふつうは個体数ではなく、種や属レベルの多様性が顕著に減少する場合に「大量絶滅」という言葉が使われる。数パーセントの個体数でも生き残った種であれば、再び数を増やして地質学的証拠からはなかなか減少の様子は分からないことに注意。
     チチュルブ衝突による生物への影響は、津波や熱波や毒ガスなどいろいろあったが、地球規模的な大量絶滅の原因となったのは、寒冷化と海洋の酸性化。光合成植物やプランクトンが絶滅したことで、食物連鎖の上層も死に絶えた。生き残ったのは、食物連鎖の中でも腐食物を利用する腐食連鎖の生物たち。昆虫や哺乳類など。あと海水生物よりも淡水生物が酸性化を免れて多く生き残った。カメ、ワニなど。

    衝突説への反論
     恐竜は漸進的に数を減らしていたとする主張と、火山噴火に絶滅の根拠を求める主張とが主な反論。火山噴火説には、白亜紀末だけでなく他の大量絶滅をも同じ理由で説明できる魅力があるものの、チチュルブのような物的証拠にサポートされていない。もはや、これらの説を唱えているのは一部の学者だけ。

  • 恐竜絶滅の原因は小惑星の衝突。この定説への反論が大手メディアに取り上げられ論争が続いているという誤解に業を煮やした研究者41人が止めを刺す論文を2010年に発表。正しいだけでは不十分、広報が如何に重要かを伝える物語だ。

  • 研究者、メディア、そして一般社会、科学理論を伝えることの難しさ。研究者こそ読むべき?

  • 論文の概略になるのだろうか。
    恐竜初心者の自分には難しめの内容だった。

  • 「恐竜はなぜ絶滅したのか」
     このロマンあふれる問題に現在は小惑星衝突説がほぼ確実と考えられている。
     本書は2010年にこの分野の何名かの研究者が共著で出した小惑星衝突説が絶滅の引き金となったと宣言する論文の著者の一人が書いており、これまでの経緯、火山噴火説が有力でない理由等が記載されています。
     私はこの中でも著者が研究者としての姿勢、特にこの分野は「当時のことを誰も見たことがないので確実なことは言えない」という感情等ではなくあくまで実験結果に対して絶対的であるという姿勢に研究者としてのあるべき姿を感じました。

  • 恐竜の話はロマンが詰まっていて、どんな仮説も想像をかき立てて面白いんだけど、確かに筆者の言うとおり、大勢が判明した論争に時間と手間をかけるより次のステップに進んで欲しい気もする。隕石激突後の絶滅までのメカニズムや恐竜たちの最期がより詳細にわかってくることに期待したい。

  • 仮説から理論を構築する過程で大切なこと: プログラマの思索 http://forza.cocolog-nifty.com/blog/2013/11/post-9c95.html

  • 恐竜が絶滅したのは小惑星の衝突であると宣言して論争を決着させた様子が書かれている。
    内容がどうというより、このような論争がどのように進むのかを知ることができるのが大きい。

  • 38ページ
     支持や批判に答え、追試に絶えながら
      ◆絶えながら→耐えながら

    39ページ
     二分も立たないうちに陸上生物を死に至らしめる
      ◆立たない→経たない

  • 白堊紀末大量絶滅の引金は隕石衝突,という定説を周知するサイエンスの総説論文。その内容を一般向けに紹介。定説に反論する科学者っているもので,ゼロ年代にはそれがメディアで取り上げられたりして,「まだ論争が続いている」という誤ったイメージが醸し出されていた。それに終止符を打つべく各分野の専門家41人が2010年に出した論文がこれで,本書の著者も著者の一人である。アルヴァレズによるイリジウム濃集層の発見来,火山噴火説も一定の信憑性をもってたけど,チチュルブクレーターの発見等を通じて隕石衝突説が決定的になったということ。もちろん完全に解明されたわけではなく,完全理解など不可能だろうけど,大筋は揺るがないようだ。
    反対説の悲哀がこの一文に現れている。
    "なぜアーチバルド、クルティヨ、ケラーのような一九八〇年代からの論客が、三〇年も経った今でも自分たちの主張を自分たちでしなければならないのだろうかと考えると、世代を超えて支持が広がり続ける衝突説との決定的な違いを感じざるをえません"
    それでも彼らは自らをガリレオやゼンメルワイスになぞらえるのかもしれないが。

  • 白亜紀末の絶滅において、光合成産物を基礎とした食物連鎖にいる生物に比べて、腐食性の食物連鎖にいる生物の方がはるかに影響が少なかった。また淡水にすむ生物には影響が少なかった(海水に比べて酸性雨の影響を受けにくかった)。

  • 昔々、恐竜は地球に生息していた。これは化石から分かったことだ。科学者たちの研究はここまででは終わらない。恐竜はどう生まれ、どう生活し、どう絶滅したのか、彼らは解明しようと研究していた。そして今回、どう絶滅したのか、ひとつの道筋を紹介してくれた。

    チチェルブ小惑星が地球に衝突する。この衝突によって、地球環境が大きく変動した。光合成生物は大量に絶滅し、食物連鎖の崩壊を引き起こした。数ヶ月分の食料が途絶え、そして恐竜は絶滅した。

    現在、この説が最も科学的に有力であり、多くの科学者が支持している。
    恐竜の研究の一端を見ることができてよかったと思う。

  • 白亜紀末の恐竜絶滅の原因を明らかにするだけでなく、それを社会に対して発信・説明する事の重要性を説いている。特に後者の点について深く納得できるものだった。
    著者は当該研究の第一人者だが、サイエンス・ライターとしても優秀で、説明はとても分かり易い。こういう人が増えてくれると嬉しい。

  • 恐竜絶滅の謎が解けて、すっきりしました!

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