- Amazon.co.jp ・本 (152ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000613552
作品紹介・あらすじ
このまま沖縄返還を迎えさせてはならない、せめて一撃は与えなければならない――。行き詰まる取材の中で偶然手にした極秘電信文は、交渉が偽装と隠蔽の産物と示す重要証拠だった。機密漏洩で有罪となった著者が初めて明らかにする「事件」の経緯とは。社を超えた「親友」渡邉恒雄との交流や深く関わった自民党・宏池会、また大平、角栄、福田の思い出など、数々のスクープを放った政治記者の「遺言」。
感想・レビュー・書評
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山崎豊子「運命の人」のモデルの元・毎日新聞記者 西山太吉87歳が、まさに遺言として出版した本。TBSのドラマでモッくんが演じた人ですが、当時の記憶としては最初は沖縄の密約の政治問題だったのに、突然、男と女の醜聞になっていく過程を感じ、子供心にも「この新聞記者、よくないことしたんだ…」とモッくん的優男度ゼロの強面の表情をよく覚えています。当時の社会感情として、彼に対する批判は厳しく、西山事件で毎日新聞はみるみる部数を下げたと聞いています。本当はWHATが問題なのに、HOWが新聞記者としての命取りになりました。この本で書かれている朝日新聞、読売新聞、毎日新聞の競争心と連帯感は今や昔、政権との距離の取り方で三紙、全然違うメディアになってしまっています。この「遺言」でも情報を持っている政権とそれを探ろうとするジャーナリズムのある種の緊張感のある相互依存を懐かしんでいる感があります。最近の意外な大ヒット映画「新聞記者」でも政権に対しての新聞という存在の非力さに驚きましたが、どんどん新聞ジャーナリズムは追い込まれているような気がします。1972年の佐藤政権の最期の記者会見で新聞記者を追い出し、TVカメラだけに語りかけた当時は新聞が政治に対する抑止力になっていたとでしょうが、ハンセン病についての誤報など、ますますチェック機能は薄らいでいると思われます。問題は本書にも登場する既得権としての記者クラブであるように思える部分もあるので、全面的に著者の意見に賛同するものではありませんが、彼の「今、言っておかなくては!」という焦燥感はよく伝われますし、主張も正しさを感じます。さてさて日本の新聞、目指すは、トランプ大統領とガチンコの戦いをしながら収益を上げているNYT?それとも?
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東2法経図・6F開架:319.1A/N87k//K