明暗 (注解:十川信介)/

  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (825ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000918114

感想・レビュー・書評

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  •  「明暗」、大学生時代に一度読んで、今回数十年振りに再読したのだが、当時は字面を追っていただけだったのだろうな。冒頭の、病院での津田と医師とのやり取りの場面の印象は鮮明に残っていたが、登場人物の間で繰り広げられる心理戦のような会話の応酬がこんなに続いていたのか。津田とその妻お延の夫婦間、津田夫婦と津田の妹お秀との金銭を巡る対立、へりくだる津田と彼をコントロールしようとする吉川夫人、そして津田と清子(残念ながらそのやり取りは未完のため十分に書かれずに終わってしまったが)。
     小説的時間としては、津田の痔の手術とその保養というわずか10日ほどの間のことで、特に大きな出来事が起こる訳ではないのだが、主には会話を通して相対する人との間で繰り広げられる濃密なドラマに参ってしまった。

     また今回の再読では、津田の友人小林が津田夫妻を掻き回す場面や、一見恵まれた立場にある津田の生き方に対する批判について興味深く読んだ。

     漱石作品としては珍しく登場人物の女性が正面から描かれており、一体この後どんな展開になったのだろうといろいろ考えてしまう。

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著者プロフィール

1867(慶応3)年、江戸牛込馬場下(現在の新宿区喜久井町)にて誕生。帝国大学英文科卒。松山中学、五高等で英語を教え、英国に留学。帰国後、一高、東大で教鞭をとる。1905(明治38)年、『吾輩は猫である』を発表。翌年、『坊っちゃん』『草枕』など次々と話題作を発表。1907年、新聞社に入社して創作に専念。『三四郎』『それから』『行人』『こころ』等、日本文学史に輝く数々の傑作を著した。最後の大作『明暗』執筆中に胃潰瘍が悪化し永眠。享年50。

「2021年 『夏目漱石大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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